廃棄物技術支援事業

「人工芝リサイクルシステムに関する技術開発の実証研究(第2期)」

【実施者】
高俊興業株式会社(中野区新井1-11-2 03-3389-8172)
高俊技術開発研究所(東京都環境科学研究所 中防庁舎内)
(連絡先:大音 主任研究員 03-5579-6691)

1 実証研究の背景(人工芝の処分)

近年、国内にロングパイル人工芝が導入され、日本サッカー協会等のスポーツ団体の推奨もあり、運動場では以前のショートパイル人工芝に替わりロングパイル人工芝の施設が増加している。現在、張り替えにより不要となった古い人工芝の処分は、粗破砕により最終処分場に埋め立てられているが、今後は導入時のロングパイル人工芝も耐用年数を迎えることもあり、人工芝のリサイクル処分が業界関係者より強く求められている。

2 実証研究計画

(1)第1期(平成21年度)

  • 砂とゴムの混合物(充填材)について比重差選別機による分離試験

(2)第2期(平成22年度)

  • ロングパイル人工芝からの砂及びゴム混合物について選別専用機による分離試験
  • ロングパイル人工芝の基布部と芝草部について、カッターによる切断試験

(3) 第3期(平成23年度)

  • 砂とゴムの混合物(充填材)の払い落とし
  • 分離装置や切断装置のスケールアップ

3 第2期(平成22年度)実証研究結果

人工芝の緩衝材として充填されている砂とゴムの混合物が分離可能であるかを比重差選別機と振動ふるい選別機により行った。

  1. 人工芝の緩衝材として充填された砂とゴムの混合物を砂・ゴム選別装置によって分離可能であるかの検討を行った。砂・ゴム選別装置は粗粒ゴムを1mmの篩で篩い分け後、砂ゴム混合物を振動と風力により、砂と細粒ゴムに分離する機能を有している。
    砂・ゴム選別装置では、ロングパイル人工芝に充填されていた砂とゴムの粒度分布(下図)から、篩によって1mm以上でゴムの80%が分離され、残りのゴムと砂の大部分が1mm以下に分けられる。

    砂・ゴム選別装置

    砂・ゴム選別装置

    砂・ゴムの粒度分布

    砂・ゴムの粒度分布

    1mmの篩を通った砂とゴムの混合物は、振動風力選別によって、砂と細粒ゴム及び少量の異物に分離された。分離した砂と細粒ゴムの重量比率は86~90%と10~14%であり、砂中のゴム量は微量であるが、細粒ゴム中に砂が38~68%含まれていた。
    回収された砂、ゴムは人工芝を造成する際に再使用することが考えられる。

  2. ロングパイル人工芝の芝草部分と基布部分とを切断する芝草切断装置を開発して、適正な分離条件を検討した。
    実験に使用したロングパイル人工芝

    実験に使用したロングパイル人工芝

    芝草切断装置

    芝草切断装置

    ロングパイル人工芝は充填材が除かれ、芝草切断装置の処理幅に合わせるため、150mm幅、長さ1.5mにカットされ、芝草切断装置に取り付けられて、芝草と基布の切断が行われた。
    切断実験はカッター刃の基布に接する切断間隙、人工芝の送り速度、円形のカッターが左右に振り子のように振れる揺動速度、カッターの回転速度を調整して行われた。
    実験の結果から切断の最適条件は以下のようになった。
    芝草切断装置は、芝草押さえを取り付けて芝草を固定したため、切断間隔を少し離して0mmにしなくともシャープに切断でき、刃による基布の擦れや削れを起こすことが無くなった。人工芝の送り速度は29.3~36.7cm/min(20~25Hz)程度が良好で、切断間隙を押しつけた場合51.3cm/min(35Hz)が適切であった。カッターの揺動速度は人工芝の送り速度が51.3cm/minの時11.7m/min(50Hz)が限界であった。カッターの回転速度は2850rpm(50Hz)が適切であり、遅くなると切り残しが出た。
    ( )内はインバーターの周波数で速度に変換される

    150mm幅人工芝を芝草と基布に切り離す

    分離回収した基布は裁断してサーマルリサイクル用に利用し、芝草は洗浄してペレット化しマテリアルリサイクル用に利用することが考えられる。

  3. まとめ
    ロングパイル人工芝の概略重量(29.1kg/m)から砂ゴム混合物を払い落とすことによって、人工芝(2.1kg/m)と砂ゴム混合物(27kg/m)に分けられ、人工芝は芝草切断装置によって芝草(1.2kg/m)と 基布(0.9kg/m)に分離された。砂ゴム混合物は砂・ゴム選別装置によって、砂(20kg/m)とゴム(7kg/m)に分離された。

4 第3期(平成23年度)予定

砂とゴムの混合物(充填材)を人工芝から効果的に払い落とすための実験、分離装置や切断装置をスケールアップして、実用化するための検討を予定している。