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平成19年度 第2回外部研究評価委員会 (平成20年3月4日)

研究テーマ  1 有害化学物質の分析法・環境実態に関する研究
研究期間 20年度〜22年度
研究目的 環境残留性、蓄積性が高く、極微量でも都民へのリスクの高いおそれのある残留性有機汚染物質(POPs)やその候補物質について分析法を確立し、環境媒体(大気及び水質・底質・生物(魚)等)中の汚染実態調査を行う。特にPOPs候補物質として、国際的にも規制に向けた動きのある有機フッ素化合物(PFOS、PFOA)について、排出経路、業態の解明を行うとともに、他の有機フッ素系化合物(PFOS類縁物質)による環境汚染の実態を把握する。
研究内容 (1)PFOS類縁化合物の分析法検討と精度管理
  C13体標準品利用した内部標準法による検討(LC/MS/MS)
  既存標準作業手順書(SOP)の改良
(2)有機フッ素化合物等の汚染源解明のための調査
  PFOS、PFOAの汚染源業態の解明
  PFOS類縁物質の都内汚染実態の把握
(3)化学物質環境実態調査
  エコ調査(環境省受託):大気、水、底質、生物
 
事前評価 A3、B2
評価コメント ○PRTR制度の施行以後、化学物質対策に対する関心が高まってきている中で、本研究に対するニーズも高い。特に近年、PFOS、PFOAの規制や実態調査に関する検討が進んでおり、本研究は時宜を得たものと評価される。・東京都には大都市圏と小笠原のような発生源の少ない遠隔島しょ部の両者が存在しており、都内のみで大きく異なる環境の情報が得られる利点がある。この利点を活かした継続的な調査は、東京都だけでないニーズがある。
○環境省のプロジェクト調査であるが、東京都としての主体的な取り組みが計画の中でもう少し前面に出てもよいように思われる。
○環境中にでていく化学物質は数多く、スクリーニングと詳細調査の2段階対応が大切だと思われる。人数も限られる中で大変であるが、日本の首都をかかえる当研究所のリーダーシップ発現の意味でも、今後とも国際的動向まで含めてアンテナをはり全体の動きをつかみながらスクリーニングをかけていく努力をお願いしたい。
○分析法の確立と実態解明に至る実施スケジュールをより明確にする必要がある。実態解明のための調査地点、分析項目等を、研究目的に照らしてより明確にする必要がある。
 
対応等 ○PFOSの排出経路解明の調査等は都の独自調査であり、これらの結果をもとに、都として優先度の高い化学物質の排出抑制を提案していく。
○環境省の事業は東京湾におけるスクリーニングのみとなっていています。都ではその結果を受けて河川の詳細な調査、排出経路の解明などを行い、都内排出量の削減対策に役立てていく。
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研究テーマ  2 土壌等におけるダイオキシン類の発生源解析に関する研究
研究期間 20年度〜22年度
研究目的 都内に存在するダイオキシン類高濃度汚染事例の汚染機構を解明するとともに、ダイオキシン類の生成原因や生成機構を解明して、高濃度汚染土壌の適切な処理を推進する。
研究内容 (1) 高濃度汚染事例の汚染機構解明
 @高濃度汚染個所におけるダイオキシン類生成機構の検証
 A地歴や共存物質等を含めた包括的なデータによる原因の解明
 B適切な処理対策の提言に向けての情報収集
(2) 発生源解析に関する研究
 @各発生源から周辺環境へのPCB及びダイオキシン類挙動調査
 A正確な解明調査のための指標異性体の選定・絞り込み及びCMB法の改善
 
事前評価 A4、B1
評価コメント ○ダイオキシン類の環境濃度が全般的に低下している中で、土壌や底質中における高濃度が報告される例が多く、重要な研究課題といえる。特に発生源が確定しにくい事例が多いことから、精度の高い測定データに基づいた発生源特定のための解析の重要性が高い。
○近年新たに見つかった大きな負の遺産に対する取り組みで、大変だとは思うが意義も優先順位も高い研究と評価される。塩素漂白由来の特徴を明らかにする研究を、先導的に進めていただきたい。
○社会的に問題となっている土壌汚染、特にリスクの高いダイオキシン類の発生源解明を目指した研究テーマであり、設定目標は適切である。
○土壌中におけるダイオキシン類生成機構の解明は困難が予想されるが、これまでの研究成果を踏まえて、目的が達成されることを期待したい。
○ダイオキシン類の生成機構や汚染機構の解明には多くの要因が関係するものと予想されることから、研究対象とする汚染地域の選定や対象資料の選定にあたっては、3年間にわたる研究計画を念頭に、十分に考慮する必要があろう。
○成果の活用方向として、適切な処理対策のための提言が挙げられているが、処理対策の内容について研究計画の中では具体的な言及がない。どこまで踏み込めるのか、ある程度の目標が示されるとよいかと思われる。発生源特定については、できる限り多様な手法を組み合わせて、より精度の高い特定が行えるように努力されたい。
対応等 ○処理対策については、発生源解析による汚染原因の特定することによって、汚染の拡大防止及び有効な処理対策法等の提言を行う。また、発生源解析については低塩素化ダイオキシンや全PCBにとどまらず重金属や他の有機塩素など複合的な視点からの解析法の改善に努める。
○現在問題となっている汚染地が、他の有機塩素化合物が多く夾雑していることから、ダイオキシン類以外の情報も多く、発生源解析には非常に適した地点と考えられる。しかし、今後新たな汚染地が発現することも考えられ、その時点で最も社会的需要の高い地域や資料において研究を取り組める体制を確保していきたい。
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研究テーマ  3 うるおいある水辺環境の回復に関する研究 (底質からの栄養塩類溶出等調査)
研究期間 20年度〜22年度
研究目的 水質改善を妨げる主な要因となっている底質汚染について、底質成分の挙動に係る文献を調査収集して取りまとめるとともに過去に実施された東京湾の底質データを電子データに収集・整理を行う。
研究内容 (1) 底質汚染が水環境に与える影響の把握(文献調査)
 底質からの栄養塩溶出速度や、酸素消費速度等の文献情報を取りまとめる。
(2) 東京湾における底質汚染状況の推移と現状の解析(データ解析)
 東京都や他の自治体及び国が実施した底質調査データを収集・解析し、 底質汚染状況の推移や地域的な特徴を明らかにする。
 
中間評価 A1、B4
評価コメント ○東京湾の水質は、全般的には改善傾向にあるとはいえ、まだ大きな問題として残されており、重要な研究課題といえる。特に近年、水辺環境に対する市民の関心が高まっていることから、行政的なニーズの高いテーマといえる。既存のデータをベースとした研究のアプローチは、新規性の点で低く評価される場合が多いが、極めて重要なアプローチであるので、積極的に推進されたい。
○東京湾への流入河川の水質改善が進む中、湾自体の水質改善は最後に残された研究課題とも言え、その目標は妥当である。何故東京湾の水質改善が進まないのか、その原因予測に基づいて改善対策が提言できるような成果を期待する。
○「ヒートアイランド研究」に関連しての質問だが、排熱の水への排出を通じた東京湾の表層水温上昇が水質向上の邪魔をしていないだろうか。他にも様々な人為的影響を受けているフィールドであるだけに、特定のポイントに注目して研究を行うとしても全体的な視野を保ち続ける努力をお願いしたいと思う。
 
対応等
○改善策の具体化に際しては、経済的、工学的な視点からの評価が最も重要であるが、本研究では、そのために必要な、底質汚濁の水質への影響や底質汚濁の分布、汚泥の存在量などの情報提供を行う。
○底質汚濁は、赤潮や貧酸素化など水質汚濁現象と相互に関連しており、水環境全体の改善を視野に研究を行っていくことが必要であると考える。また、水温上昇も水質への影響が大きいと考えられることから、検討課題としたい。
 
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研究テーマ  4 うるおいある水辺環境の回復に関する研究 (都内水域の大腸菌群数に関する研究)
研究期間 20年度〜21年度
研究目的 都内河川の水質は経年的に改善傾向を示しているが、大腸菌群数については、ほとんどの水域で環境基準に適合していない状態であり、その対策が求められていることから、@水環境中での大腸菌群の挙動及び大腸菌群の種構成、A大腸菌群測定の公定法の課題、B大腸菌群数の環境基準不適合の原因を明らかにする。
 
研究内容 (1) 河川実態調査
 多摩川の大腸菌群数等の実態を調査する。
(2) 大腸菌群数等の分析方法の検討
  各種の大腸菌関係測定方法を用いて分析し、それらとの比較によって公定法測定の課題を明らかにする。
(3) 大腸菌群数の群集構造解析
 大腸菌群を構成する細菌類の系群の基礎的研究を行い、群集構造を解析することによって発生源の由来(人糞便、動物糞便、土壌細菌など)の推定を行う。(東京大学海洋研究所との共同研究)
 
中間評価 A1、B4
評価コメント ○都内の河川水質の中で唯一残された課題といえる大腸菌群数について重点的に取り組もうとする研究課題であり、ニーズを捉えた課題設定といえる。現行の測定方法が有する問題点も研究課題に含めており、その結果によっては画期的な成果が得られることも期待される。
○環境基準不適合の原因を明らかにすることが目的に掲げられているが、既往の研究例の活用もあり得ると思われることと、2年間という比較的短期の研究計画であることから、既往事例の活用も含めてより具体的な研究計画を早期に固める必要があると考えられる。
○AA類型である河川において大腸菌群数の環境基準適合割合が0%であることは驚きであり、本研究テーマは早急に実施される必要がある。河川水質の環境基準達成率がBODを主体とした水質項目によって評価されている現状において、大腸菌群数に着目した本研究テーマはユニークであり、かつ重要である。
○計測方法に問題があって見かけ上、水質が悪いと判断されることがあるのであれば問題で、その点をぜひ解決していただきたいと思う。
○公定法による測定課題を明らかにすることは緊急の課題であり、本研究を通じて一般化し得る分析法が確立されることを期待したい。
○病原菌や薬剤耐性などの観点からの調査も、今後適当な機会を捉えて行っていただきたいと思う。
対応等 ○既往事例の収集に努めているが、現段階では河川の細菌群集構造の解析報告は非常に少なく、多摩川での報告は得てない。具体的な研究計画は共同研究者と早期に固めていく。
○国の測定法見直し作業にも活用されるよう研究を進め、早期に問題点を整理する。
○当面は大腸菌群数、大腸菌を中心に調査を進めていく。病原性や薬剤耐性に関しては、過去に共同研究を行った東京都健康安全センターとの連携を強めて情報を収集し、今後の検討課題としたい。
 
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研究テーマ  5 光化学オキシダント対策の効率的な推進に関する研究
研究期間 19年度〜21年度
研究目的 光化学オキシダント生成に対するNOxやVOC等の影響を総合的に検討することにより、寄与の大きいVOC成分を特定し、排出抑制した場合の効果を予測することによって、光化学スモッグ対策の効率的な推進に資する。
研究内容 (1)オゾン生成ポテンシャルによるVOC成分毎の寄与の評価
 @首都大との共同観測:郊外部(八王子市)夏・冬
  首都大:レーザー誘起蛍光システムによるラジカル濃度計測
  環境科学研究所:GC-MS等により大気中VOC成分濃度の時間変化の測定
(2)VOC環境調査
 @植物起源VOCの測定法検討
 A四季、時間帯別測定
(3)VOCと高濃度光化学オキシダント出現との関係解析
 光化学オキシダント、NOx、非メタン炭化水素(NMHC)濃度、気象条件などの常時監視データ等により、高濃度光化学オキシダント出現状況とNMHC濃度との関係を統計的に解析する。
 
中間評価 A3、B2
評価コメント ○光化学オキシンダントは19年度にも全国的に多数の注意報が発せられたように、現在もなお重要な環境問題の1つであり、発生源集中地域にある東京都として、非常にニーズの高い研究課題である。別途注目を集めているVOC問題への取り組みとしての意味も持っており、行政的なニーズも高い。
○効率的な対策立案、実施にむけて信頼性の高いインベントリーを作成することが重要と思われる。人為起源と自然起源のVOCの寄与の解析を場所を比較して行おうとしているが、化石燃料と生物起源物質の区別ができる14C測定を組み込むことができれば、より直接的な解析ができるのではないか。
○光化学スモッグ対策は、首都東京において解決されなくてはならない緊急の課題であり、本研究テーマは時宜を得たものといえる。
○これまでの研究成果を踏まえて、VOC成分のオゾン生成への寄与を評価するとする研究目標は適切である。
○モデルシミュレーションは21年度の計画になっているが、準備作業期間も含めると1年間で成果を得ることは容易ではないと考えられるため、早期に着手する必要がある。
○オゾン生成ポテンシャルにおける寄与の大きいVOC成分を特定する方法をより明確にし、研究目的を達成してほしい。
対応等 ○シミュレーションについては早期に着手するよう留意する。
○14CについてはVOC由来のPM2.5についても課題となっており、可能であれば検討したい。
○大気中で二次生成され測定対象となっていないVOC成分がどれだけあるかを明らかにしていきたい。
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研究テーマ  6 大気中微小粒子に関する総合的研究
研究期間 平成19年度〜平成21年度
研究目的 大気中微小粒子(PM2.5、ナノ粒子)の健康影響が問題となっているが、これら微小粒子はディーゼル排気微粒子だけでなく、光化学反応により二次生成されることが考えられることから、PM2.5に係る都内の状況の把握、特に光化学反応の影響が高い地域におけるPM2.5の二次生成量及びメカニズムを検討するとともに、PM2.5に係る原因物質の推定や対策効果の検証に必要なデータを取得する。
研究内容 @多摩地域を含む都内4か所において時間毎の濃度測定かつサンプル採取が可能なβ線式PM2.5測定器による観測を行い、光化学反応による二次生成過程について検討する。
A夏期のオキシダント高濃度時及び冬期に、時間ごとにPM2.5の水溶性成分組成を分析し、オキシダント濃度との関係を把握する。これにより、二次生成量及び生成メカニズムを検証する。また、夏期1か所においては、エアロゾル質量分析計によりVOC由来の粒子について検討する。
B関東地方SPM合同調査に参加し、PM2.5中の主要成分(元素状炭素、有機炭素、水溶性成分)の濃度の広域的把握を行う。 ※関東地方SPM合同調査への参加については、甲の関連部署と協議を行う。
C環境局が実施する大気中微小粒子(PM2.5)に関する調査事業、学識経験者による検討会について、調査等に係る技術支援、調査・研究の企画及び委託仕様書・報告書等の案の作成、会議への出席などを行う。
 
中間評価 A3、B2
評価コメント ○PM2.5の問題は、新しい大気環境問題として注目を集めており、国レベルの取り組みも行われているが、大都市圏である東京都が独自に取り組むことも必要性が高い。国の取り組みとも連動しているが、独自の研究テーマとしての意欲的な位置づけもみられている。
○連続測定によるデータの蓄積は非常に重要な取り組みであり、データの有効活用が期待される。
○測定地点の選定について特に説明されていないが、有効な解析が可能となるように、連続測定、成分測定とも十分な検討を行った上で選定されることを望みたい。
○肺胞の奥まで侵入して沈着しやすいPM2.5への二次粒子生成の側面からの取り組みで、微小粒子への取り組みとして早いものとはいえないが、重要な課題であり成果を期待する。
○「光化学オキシダント対策の効率的な推進に関する研究」との連携を明確にする必要がある。
対応等 ○測定地点は移流の状況を検討できるように選定したい。
○「光化学オキシダント対策の効率的な推進に関する研究」とは測定期間を共通化するなどして連携したい。春季は人的資源の点から困難であるが、夏期及び冬期調査結果を踏まえて検討したい。
 
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研究テーマ  7 ヒートアイランドに関する研究
研究期間 19年度〜21年度
研究目的 クールタウンモデル推進事業により実施される対策の実施効果、ならびに、街区周辺への波及効果、さらには、都区部全体(都市レベル)に対する効果を海風による効果も含めて明らかにし、東京都のヒートアイランド対策の推進に寄与する。
研究内容 (1) 対策実施地区における効果の把握
  推進エリア内の対策実施地区と未実施地区に温度ロガーを多数配置し、(主に小学校の百葉箱)詳細な気温分布を調べる。
(2) 対策実施にともなう周辺地域及び都内全域への波及効果の把握
  都内約100地点(主に小学校の百葉箱)と、東京湾内の海上約10地点に温度ロガーを設置して、都内全域の気温及び水温分布を調べる。
(3)都市レベル(区部全域)での対策実施効果の把握
  対策の実施に先立ち(並行し)、シミュレーションにより、対策実施にともなう都市レベルでの広域的効果を解析する。
 
中間評価 A1、B4
評価コメント ○別に行われている対策研究との連携が計画の中に挙げられているが、具体的にどのようにシミュレーションに反映させるのか、複数のシナリオ設定が有効と思われるので、検討をお願いしたい。
○対策による効果を検討する際、同一地域で行なわれている他の目的の対策(例えば省エネ対策)による効果を分離することが必要と考える。
○大都市部の環境問題として非常に注目度の高い課題に対して、これまでも研究計画に沿って適切に研究が遂行され、成果が蓄積されてきている。
○ヒートアイランド問題に取り組むにあたり、総合的な省エネ的取り組みもあれば、壁面・屋上緑化のような技術的開発、打ち水などライフスタイルに働きかける手法などいくつか考えられる。都民への訴求力を考えると、方向性をはっきり打ち出した方がよいのではないか。
○ヒートアイランドの根本的解決策は省エネルギーと,太陽エネルギー利用などであり,東京全体でその実行を研究する必要がある。
○ヒートアイランド推進対策エリアの規模、各種対策事業の内容を定量的に明らかにし、それらとの関係において測定結果を解析する必要がある。
対応等 ○緑を活用した都市の熱環境改善に関する研究で得られるデータにより緩和効果の予測精度向上が期待できるので、今後ヒートアイランドに関するシミュレーションにも反映させることにより、さまざまなシナリオの設定に役立てていきたい。また、過去のデータ解析結果もデータベースとして活用できるような体制を検討していきたい。
○ヒートアイランド現象は、さまざまな場面でそれぞれ適した対策を講じていくことが有効であり、当研究所の重要な役割の一つに、それぞれの対策を定量的に評価し、都民や事業者にわかりやすく情報提供していく面がある。ご指摘の点は、こうした面も含め行政施策にかかわる部分も多いので、今後、東京都環境局との十分な協議のもとに検討していきたい。
○今後、ご指摘の研究分野も視野に入れながら、専門の他研究機関や大学等の共同研究を積極的に進め、ヒートアイランド現象の研究を進めていきたい。
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研究テーマ  8 都市づくりにおけるCO2削減手法検討調査
研究期間 20年度〜21年度
研究目的 研究所で既に着手している環境技術の実証研究結果等をもとに、環境技術の導入条件、実用性、導入効果を体系的に明らかにするとともに、これら環境技術の導入適地、導入可能ポテンシャルの分析を行い、都全域への導入効果を明らかにする。さらに、導入促進のための課題を明らかにし、解決策を法制度面も含め検討し、導入促進手法を施策提案する。
研究内容 (1)環境技術の既存実証研究の検討
 既に着手している以下の外部資金研究の成果を基に、関連する最新情報調査を行い、導入条件、実用性、導入効果等を体系的に整理する。
 @再生可能エネルギー(バイオマス)導入促進研究
 A既存建築物における省エネ改修等効果測定調査
 B運輸部門(自動車)における温暖化対策の研究
(2)環境技術の新規実証研究の検討
 (1)に関連するCO2削減手法として期待される環境技術情報を調査し、新規実証研究の可能性の検討や立案を行う。
(3)環境技術の導入適地・対象条件の検討
(4)導入可能ポテンシャルの分析手法の検討
 
中間評価 B4、C1
評価コメント ○自治体としての取り組みのための調査研究であるので、総花的にならずに、できる限り焦点を絞り込んで具体的な対策まで踏み込めることが望まれる。現時点の計画でもそのようなポリシーがみられるが、研究遂行の上で是非強く意識していただきたい。
○現時点での計画では事業所と交通が主な対象と見受けられ、一般住宅は重点対象としないものと理解できるが、その点をもっとはっきり示したほうがよいのではないか。
○当研究所の既存研究との連携が計画に挙げられているが、この分野は他にも新たな知見がどんどん得られているので、常に情報収集に努められたい。
○掲げる目標を本当に達成するには、予算的にはるかに大きいものが必要ではないかと感じる。ありきたりの調査で終わることのないよう、丁寧な検討と委託調査のガイダンスをお願いしたい。
○研究目標がやや曖昧である。2年間で達成できる目標を明確にする必要がある。
○研究事項が多岐にわたっているが、環境研としてのこれまでの研究実績を踏まえて、成果が挙がるよう、研究事項を絞る必要もあるのではないか。
○2020年までに25%削減をいう目標達成は,現在の技術で実行可能か疑問である。
対応等 ○当所で既に実証研究を行っている環境技術を中心に、検討調査を行う。導入適地、導入ポテンシャルについてはより具体的な検討・調査に努める。当該技術に係る最新の知見の収集を関係者ヒアリング等により併せて行っていく。
○当所で既に取り組んでいる、バイオマスの活用など新たな分野の研究の成果を都の施策に反映させることを目標に、学識経験者等の意見を聞きながら検討事項を明確にし、着実に検討調査を進めていく。
○当所で既に実証研究を行っている環境技術を導入することにより見込めるCO2削減量が2020年までに25%削減するという都の目標にどの程度寄与できるか明らかにしていく。
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研究テーマ  9 自動車排出ガス低減対策の総合評価に関する研
研究期間 18年度〜20年度
研究目的 大気汚染の早期改善に向けて、自動車排出ガス規制のあり方等について国に働きかけ、メーカー等に新技術の開発普及を促し、また都独自の施策k巣を推進していく上で必要な @自動車排出ガス規制の効果検証、Aポスト新長期規制に向けた最新排出ガス低減技術の事前検証 及びB低公害車等普及に向けた排出ガス実態の把握 を行う。
研究内容 (1) 自動車排出ガス規制等の効果検証(排気管排出レベル)
   使用過程車(新短期、新長期規制適合車)を用いて、法定試験や東京都実走行パターン等の各種モード(オフサイクルを含む。)による排出ガス (VOC、ナノ粒子、多環芳香族等の未規制物質を含む)測定・分析及び従前規制適合車との比較・検討を行う。
(2) 自動車排出ガス規制等の効果検証(環境レベル)
  道路沿道等における大気試料の採取・分析(粒子状物質、NOx、VOC等)及び交通量等の計測を行い、自動車排出ガスの大気環境への影響を調査。
(3)最新排出ガス低減技術等の事前検証
  最新の排出ガス低減技術等(尿素SCR等)を備えた車両について、シャシダイナモを用いて排出ガス測定を行い、排出ガス低減効果、未規制物質、アンモニアスリップ等の検証を行う。
(4)CO2削減に向けた自動車燃費・燃料対策の評価
  ハイブリッド車等の低燃費車やバイオマス燃料使用時の燃費・排出ガスの実態調査を行う。
 
中間評価 A4、B1
評価コメント ○大都市部における自動車由来の大気汚染がなかなか改善されない状況の中で、東京都に課せられた使命ともいえる研究課題である。最近は全国的にみると交通量制御による対策の研究が多くなってきているが、この種の発生源対策に関する研究は依然としてニーズが非常に高い。
○近年注目されているバイオマス燃料についても計画に含めており、注目される。バイオ燃料の評価については、単に排ガス分析や部品劣化の視点だけでなく、たとえば光化学汚染への影響も視野に入れる等、多角的な視点も必要と考えられる。
○長い研究歴を背景にもつ研究で、内容的にもしっかりした提案となっており、より成果が期待される。車作りをリードできるような提言につなげてほしい。
○自動車排出ガス低減対策について、国に先んじて常にリードしてきた研究テーマであり、その内容は高く評価することができる。最終年度にあたることから、今後の課題を含めて取りまとめることを希望する.
○研究事項「CO2削減に向けた自動車燃費・燃料対策の評価」は、「都市づくりにおけるCO2削減手法検討調査」と密接に関連するため、相互の連携を念頭に研究を推進されたい。
○「光化学オキシダント対策の効率的な推進に関する研究」、「大気中微小粒子に関する総合的研究」との関連があれば,より幅広い知見が得られる可能性がある。
 
対応等 ○自動車排出ガス測定が行える限られた研究機関の一つとして、その役割を十分に果たせる研究に努める。バイオ燃料の評価に当たっては、規制物質の測定に限らず、HC成分の状況にも注意を払っていく。
○自動車排出ガスに係る大気環境対策や温暖化対策をリードしていけるように、各国の規制動向等の把握にも努めながら、今後の研究を進めていきたい。
○研究のとりまとめに当たっては、今後の更なる研究発展が図れるように努める。また、「CO2削減に向けた自動車燃費・燃料対策の評価」については、都内CO2削減の取り組みの一つとして、行政の対策に繋げていけるデータ収集・解析に努める。
○大気中のオキシダント、微小粒子への課題に対し、自動車由来のVOC成分やNO・NO2等について、リアルワールドでの排出実態を把握し、所内での連携を深めながら成果を得るように努める。
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研究テーマ  10 廃棄物の処理技術に関する研究
研究期間 平成18年度〜平成20年度
研究目的 産業廃棄物として排出されるプラスチックは、現在8割が埋め立て処分されており、環境負荷の少ないリサイクルへの転換を図るため、事業所から排出される産廃プラスチックの排出実態を調査し、リサイクルレベルの割合を業種別に明らかにするとともに、都内産廃プラスチックの物流の実態を整理し、環境負荷の少ない効率的な収集・運搬について検討する。
 
研究内容 @ 都内の製造業から発生する産廃プラスチックの排出や処理状況を調査して、排出実態を把握する。
A 産廃プラスチックのリサイクル可能レベル(原材料、原燃料、発電等)を業種別に明らかにする
B都内事業所から発生する産廃プラスチックが、どのように収集され、処理されているかの実態を明らかにする。
C首都大学東京との共同研究で、産廃プラスチックの静脈物流について、数理モデル等により解析し、環境負荷の少ない効率的な静脈物流モデルを構築する。
                 
 
中間評価 B5
評価コメント ○廃プラスチックは現在の廃棄物行政の中心的課題の1つであり、行政的ニーズの高い課題といえる。
○モデル分析に独自性があると思われるが、前回も指摘したようにモデル式の構成が鍵になるので、早期に具体的なモデルを公表して広く意見を求めるような試みも有効と考えられる。
○難しい課題だが、リサイクル技術の完成は重要な意義をもつことを絶えず頭に置きながら、長期的視野にたって少しずつ前に進んでいるものと評価する。
○本研究テーマによって明らかになった事項を、これからどうするのか、行政対策として生かせる提言を含めて取りまとめられることを希望する。
対応等 ○廃プラスチックのリサイクル化は、廃棄物行政において、現在進行しつつある課題であるため、現時点での物流実態及び発電・熱回収等を含めたリサイクルへの取り組みを的確に把握していく。
 さらに、平成22年度末までに埋め立てゼロを目指す行政目標に合わせ、より環境負荷の少ないリサイクル及び静脈物流の解析を行っていきたい。
 

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