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平成20年度 第2回外部研究評価委員会 (平成21年2月27日)

研究テーマ 自動車環境対策の評価に関する研究
研究期間 21年度〜23年度
研究目的 都のエネルギー消費の少ない都市づくりや大気汚染の早期改善に向けての新たな施策展開の資料を得るため、新たなポスト新長期規制適合車の実態について継続的に把握していくとともに、新型の低公害車や新燃料使用時の排出ガス性状、燃費等を把握する。
研究内容 (1) 自動車排出ガス規制等の効果検証
 @ 規制対象物質の低減効果の検証、排出係数算定の資料
 A VOC、ナノ粒子等の未規制物質の排出実態の把握
 B 走行状況別(オフサイクル、エコドライブ等)の排出実態を把握
(2) 低公害車等の排出ガス、燃費等の把握
  ハイブリッド車、クリーンディーゼル車等の低公害車の調査
(3) 新燃料使用による自動車排出ガスの実態把握
  バイオマス、FT合成油等の使用による排出ガス調査
 
事後評価 A2名、B3名
評価コメント ○燃料の品質が自動車部品の劣化に与える影響、そして、部品の劣化が排ガスに与える影響を考慮して検討することを提案する。
○シャシダイナモメータを用いた研究は得意分野であり、それを活かすという意味で重要な研究と評価できるが、逆に言えばそれは従来の枠組みを脱していないことにつながる危険性を有していることになる。研究の発展性という面からみると、得られた基礎データを用いて次のステップに進むことや、別のアプローチによる研究と組み合わせるような方向も、是非検討していただきたい。本来はA評価でよいと考えているが、そういう期待を込めてB評価と判定した。
○他の所内事業(特にPM2.5、光化学オゾン)との連携を密にとり、より効果的研究推進に絶えず意を払ってほしい。
○他の類似の研究との連携、施策実施に向けた行政との連携を明確にされたい。
○低公害車、新燃料使用など近年の変化に対応し、研究を行うことは重要である。
対応等 ○燃料品質は、部品摩耗、燃料ラインの詰まり、触媒劣化等に影響を及ぼし、排ガスを悪化させる可能性がある。当研究所では、触媒劣化等を主眼に調査を行い、部品摩耗等については、メーカーや車両使用者と連携して評価を行う方針である。
○成果を有効に活用できるように、また、更に求められる課題に的確に対応できるように、行政部門との意思疎通を深めながら、従来までの研究にとらわれずに、発展させていくように心がけていく。
○現在の大気環境の課題に対し、所内での連携を活性化させていくように心がける。
○行政施策に活用され、また、導入するユーザー等に役立つように、開発促進等の研究目的との違いを出しながら、他の研究機関と連携していきたい。
○ガソリン車、ディーゼル車の環境技術が向上するなかで、新たな低公害車や燃料対策の目的、意義を明確にして、研究に臨んでいく。
 
 

 

 
研究テーマ マテリアルフローに関する研究
研究期間 21年度 〜23年度
研究目的 循環型社会への変革を進めるためには、資源としての採掘から製造等を経て、製品廃棄にいたるまでの物質としてのフローを明らかにするとともに、当該フローに関連するエネルギーの利用状況や、社会システムとしての物流の状況などを多角的に捉える。
研究内容 (1) 都内における小型電子機器中レアメタル調査
  回収システムが確立されていない小型電子機器について、都内の排出状況及びレアメタル等の含有量を明らかにする。
(2) 廃プラスチック類のリサイクル効率性調査
  都の目標の「廃プラスチック類のリサイクルを促進し埋立処分量ゼロにする」を実施するために、リサイクル効率性を明らかにする。
(3) 廃溶融スラグ利用促進調査
  マテリアルフローの最下流に位置する灰溶融スラグの利用促進のための基礎調査を行う。
 
事後評価 A1名、B3名、C1名
評価コメント ○研究の有用性は高く評価できるが、一方で3つのサブテーマが相互にどう関連しているのかが明確でなく、全体として「マテリアルフローに関する研究」と題されているものの、どのように研究課題全体としての成果がまとめられるのか、現時点での計画からはあまり見えてこないという問題点がある。個々のサブテーマはいずれも重要性が高く、その意味では意欲的な取り組みと言えるが、サブテーマ間の相互関係や全体として何を目指すのかを明確にした上で研究に取り組まれることを期待したい。
○リサイクル、再利用にあたり、有価物のみならず有害物の面からの調査も同時推進が必要と思う。特に難燃材のストックホルム条約追加の動きの中で、プラスチック系廃棄物のリサイクル時の汚染拡散、廃棄物埋め立て処分場からの浸出水による汚染継続など今後負の遺産の発生が容易に想像されるだけに、有害物の管理も同時ににらんだリサイクル体制の確立が望まれる。
○国内外における類似研究のレビューを十分に行い、本研究の位置付けを明確にすること。データ取得方法、分析手法等、調査研究内容を明確にする必要がある。施策展開に向けた最終目標を明確にする必要がある。
対応等 ○メインテーマを「マテリアルフローに関する研究」と、学術研究の分野としてはやや広く設定し、この分野から各サブテーマを行政ニーズに柔軟に対応できることを念頭においた研究の枠組みとしている。大都市における資源循環課題としてプライオリティの高い素材に着目し研究を展開するとともに、関連の高いサブテーマ間の相互連携を図っていきたい。
○レアメタルを含め多くの物質は有用である一方で、有害性を示す側面があるなど、資源循環の必要性と有害物質の管理は表裏一体の研究テーマと考えている。御指摘頂いた有害物質の管理の視点も踏まえつつ、今後の研究を展開していく。
○国内外において研究が進行している分野であるため、類似研究の動向を意識しつつ大都市特有の課題を中心に研究を進める。研究成果を活用した施策展開を視野に入れ、都市鉱山として一定程度のリサイクルポテンシャルのある素材に着目していく。
 

 

 
研究テーマ 都市づくりにおけるCO2削減手法検討調査
研究期間 20年度〜22年度
研究目的 研究所で既に着手している環境技術の実証研究結果等をもとに、環境技術の導入条件、実用性、導入効果を体系的に明らかにするとともに、これら環境技術の導入適地、導入可能ポテンシャルの分析を行い、都全域への導入効果を明らかにする。さらに、導入促進のための課題を明らかにし、解決策を法制度面も含め検討し、導入促進手法を施策提案する。

 
研究内容 (1) 環境技術の新規実証研究の検討
(2) 環境技術の導入適地・対象条件の検討
(3) 都内における導入可能ポテンシャルの分析
(4) 都全域を対象とした環境技術の導入効果分析
(5) 各種環境技術の導入促進手法の検討
(6) 省エネ運用の基礎となる制御技術のオープン化検討

 
事後評価 A1名、B3名、C1名
評価コメント ○環境技術を活用することの費用効果分析もあわせて行うことを検討する必要がある。
○既存技術の評価のために文献調査が重要な意味を持っているが、その調査を外部委託している点は、人員的にやむを得ない面もあるとはいえ、あまり望ましいこととは言えない。研究全体の中核的な部分には、常に研究員が直接関与するように、是非留意をお願いしたい。
○より長期的な視野での課題抽出や期待される技術開発等にも目配りを御願いしたい。なお、細かいことだが、当初計画案の2年目の項目にあった「都全域を対象とした環境技術の導入効果分析」という項目が今回の提案には見あたらないが、評価は行わないのか。
○導入効果等が定量的に明らかになるような分析手法、解析方法を明確にする必要がある。検討対象とする環境技術を絞る必要があるのではないか?政策提案に結びつける成果を得ることが重要である。
○重要な研究であることは確かであるが、既往の研究も多いと思われるので、焦点を絞ることが重要と思われる。
対応等 ○最終報告では、費用効果分析を入れる。
○この業務課題は、東京都の都環境局との密接な調整が必要であり、関与度は高くならざる負えないと思う。
○都全域を対象とした環境技術の導入効果分析についても、評価する。
○分野ごとの環境美術に重みづけ、政策優先度等をフォーカスし選定することにしている。
○ご指摘のとおり努力していく。
 

 

 
研究テーマ ヒートアイランドに関する研究
研究期間 19年度 〜21年度
研究目的 クールタウンモデル推進事業により実施される対策の実施効果、ならびに、街区周辺への波及効果、さらには、都区部全体(都市レベル)に対する効果を海風による効果も含めて明らかにし、東京都のヒートアイランド対策の推進に寄与する。
研究内容 (1) 対策実施地区における効果の把握
  推進エリア内の対策実施地区と未実施地区に温度ロガーを多数配置し、小学校等の百葉箱により詳細な気温分布を調べる。
(2) 対策実施にともなう周辺地域及び都内全域への波及効果の把握
  都内約100地点(主に小学校の百葉箱)と東京湾内の海上約10地点に温度ロガーを設置して、都内全域の気温及び水温分布を調べる。
(3) 都市レベル(区部全域)での対策実施効果の把握
  対策の実施に先立ち(並行し)、シミュレーションにより、対策実施にともなう都市レベルでの広域的効果を解析する。
 
事後評価 A1名、B3名、C1名
評価コメント ○シミュレーションモデルは是非公開することを前提に開発を進める事を希望する。
○具体的な対策と現況データの結びつきが重要課題である。また数値シミュレーションについては、常に現況再現性の確認と、適用限界の考慮(報告書等での明示)に留意されたい。
○都市構造、産業構造などとも密接に関連すること、また観測データに対する自然環境変化の影響が大きいことなど取り組み方の難しい課題に思えるが、都市緑化の推進や、廃熱の定量的把握に基づく省エネ・CO削減への貢献など、わかりやすく都民の支持を得やすい成果とうまくつながるような進め方を工夫してほしい。
○モデル街区におけるヒートアイランド対策の内容を明らかにする必要がある。その上で、対策を反映させた効果を検討する必要がある。
○クールタウンモデル推進事業により、どのような対策を具体的に行うのかが、不明確である。
対応等 ○シミュレーションの成果は公開を目指しながら研究を推進していく。
○観測システムの都合上、対策が小規模の場合、個別の対策効果が表れにくい側面があるため、具体的な対策とデータの対応は難しいが、数値シミュレーション件についても、ご指摘の点を十分に考慮して研究を進めたい。
○他の研究機関との連携も十分図っていきながら、都民や事業者に対するわかりやすい情報提供をめざして、今後、東京都環境局との十分な協議のもとに検討していきたい。
○ご指摘の点を成果に反映させるよう配慮して研究を進めていきたい。
 

 

 
研究テーマ 大気中微小粒子に関する総合的研究
研究期間 20年度 〜22年度
研究目的 大気中微小粒子(PM2.5、ナノ粒子)の健康影響が問題となっているが、これら微小粒子はディーゼル排気微粒子だけでなく、光化学反応により二次生成されることが考えられることから、PM2.5に係る都内の状況の把握、特に光化学反応の影響が高い地域におけるPM2.5の二次生成量及びメカニズムを検討するとともに、PM2.5に係る原因物質の推定や対策効果の検証に必要なデータを取得する。
研究内容 (1) 環境局が実施するPM2.5に関する調査に係る解析及び技術支援
  大気環境調査や発生源調査について、調査・研究の企画及び委託仕様書・報告書案の作成等のサポート及び結果の解析を行う。
(2) シミュレーションモデルの構築
  PM2.5及び光化学オキシダント濃度の将来予測を行うためのシミュレーションモデルの構築を行う。
(3) レセプターモデルによる発生源寄与の推定
  発生源プロファイルの整備及びCMB法、PMF法によりPM2.5発生源寄与の推定を行う。
(4) 二次生成機構の研究
  都内4か所においてβ線式PM2.5測定器による観測を行い、光化学反応による二次生成過程について検討する。
(5) 関東地方SPM合同調査 
事後評価 A3名、B2名
評価コメント ○シミュレーションモデルの開発が外部委託となっているが、本研究課題の中でも中核的な部分であることから、研究所内にノウハウが十分に残るような形で運営されることが望ましい。またリセプターモデルを用いた研究は、他県や他機関でも取り組まれていることから、十分な情報収集と、可能であれば共同した取り組みによって、より効率的に研究成果が上がるように努めることが望まれる。
○各種排ガス規制の効果の評価や、健康影響との関連の解析などにおいては、PMに関する実測情報が重要な意義をもつだけに、所内外の関連研究・事業としっかりした継続的連携体制の構築を望む。
○他の研究機関でも同様な研究が行われていることから、それらの情報も参考にして研究を進める必要があろう。
対応等 ○シミュレーションモデルについては、委託先機関と蜜に協議しながら進めていく。リセプターモデルについては、特に発生源情報について、関東地方の自治体と連携できればと考えている。
○本事業は、環境省や他の自治体、JATOPなどとも連携を図っていく。
○他機関の研究結果も参考にしていく。
 

 

 
研究テーマ 光化学オキシダント対策の効率的な推進に関する研究
研究期間 19年度 〜21年度
研究目的 光化学オキシダント生成に対するNOxやVOC等の影響を総合的に検討することにより、寄与の大きいVOC成分を特定し、排出抑制した場合の効果を予測することによって、光化学スモッグ対策の効率的な推進に資する。
研究内容 (1) オゾン生成ポテンシャルによるVOC成分毎の寄与の評価
 @ 首都大との共同観測による広域移流の影響の検討
 A 3年間の調査結果の解析(都心部と郊外部との比較検討によるVOC成分のオゾン生成への寄与の評価)
(2) 環境中VOC変質調査(VOC環境調査)
 @VOC対策による組成変化の把握、A光化学反応によるVCOの変質の把握、B植物起源VOC、含酸素VOC等測定成分の拡充
 C二次生成VOC物質についての探索、測定法、反応性の検討
(3) モデルシミュレーション(PM2.5と共通のモデルを構築するためPM2.5に統合)

 
中間評価 A2名、B3名
評価コメント ○光化学大気汚染は広域的な現象であることから、近隣各県と共同での取り組みが従来から意図されてきた。しかし研究レベルでの共同はあまり例がない。近年他県においても同様の取り組みの動きがみられることから、共同研究まではいかずとも、十分な情報交流を行うことによって、効率的な調査研究の遂行が行われることが望ましい。
○都内全ての測定局で環境基準が達成されていないOxの削減対策を推進する上での基礎研究として重要である。VOC成分がOx生成に寄与する割合が定量的に解明されることを期待したい。
○関東平野では光化学オキシンダント高濃度が毎年発生しており、近年は西日本での発生が注目を集めているが、発生頻度や到達濃度レベルでは、やはり関東周辺が最も高くなっている。VOCの成分別のオキシンダント生成能評価は、対策実施のための重要な切り口であり、専門性の高い領域でもあるが、実績のある首都大学と十分な連携を図ることにより、積極的に推進されることが期待される。
対応等 ○高濃度オキシダントの観点からは、特に埼玉県とは情報の交流を行っていきたいと考える。
 

 

 
研究テーマ うるおいのある水辺環境の回復に関する研究
研究期間 20年度〜21年度
研究目的 都内河川の水質は経年的に改善傾向を示しているが、大腸菌群数については、ほとんどの水域で環境基準に適合していない状態であり、その対策が求められていることから、@水環境中での大腸菌群の挙動及び大腸菌群の種構成、A大腸菌群測定の公定法の課題、B大腸菌群数の環境基準不適合の原因を明らかにする。
研究内容 (1) 河川実態調査
 多摩川の大腸菌群数等の実態を調査する。
(2) 大腸菌群数等の分析方法の検討
  各種の大腸菌関係測定方法を用いて分析し、それらとの比較によって公定法測定の課題を明らかにする。
(3) 大腸菌群数の群集構造解析
 大腸菌群を構成する細菌類の系群の基礎的研究を行い、群集構造を解析することによって発生源の由来の推定を行う。
 
中間評価 A2名、B3名
評価コメント ○データは順調に蓄積されてきていると判断されるが、データの解析が十分に行われたという段階までは達していないように見受けられる。前回指摘した事項と関連するが、汚染源との因果関係が解明されることが最も直接的に対策につながるので、テーマに掲げられた「回復」にどうつなげるのかを目標として明示していただけるとよいと思われる。
○ここでは衛生的な観点が中心になっているが、細菌をもっと広く捉えると、細菌群集のもつ環境浄化などの役割や抗菌剤等人為起源のインパクトによる影響評価、いわゆる汚染状況を評価する軸としての指標生物としての評価など、いろいろな解析がありうるのではないかと思われる。遺伝子解析技術が普及した現在、新たな水辺環境評価手法の構築も視野にいれて研究の推進を期待したい。
○実態解明から、原因究明へと研究を進展させることを希望する。
対応等 ○これまで実施した20年度調査のデータと21年度の調査データと合わせて解析を行っていく。大腸菌群数の環境基準達成や、都民が安心して親しめる水辺環境の回復を目指して、汚染源を解明しつつ対策を明らかにしていく。
○東京大学との共同研究により進めている遺伝子解析等も用いて、新たな水辺環境評価手法を検討していく。
○21年度は江戸川等の実態調査を行いつつ、20年度の調査結果を踏まえて大腸菌群検出の原因究明を進めていく。
 

 

 
研究テーマ 有害化学物質の分析法・環境実態に関する研究
研究期間 20年度〜22年度
研究目的 環境残留性、蓄積性が高く、極微量でも都民へのリスクの高いおそれのある残留性有機汚染物質(POPs)やその候補物質について分析法を確立し、環境媒体(大気及び水質・底質・生物(魚)等)中の汚染実態調査を行う。特にPOPs候補物質として、国際的にも規制に向けた動きのある有機フッ素化合物(PFOS、PFOA)について、排出経路、業態の解明を行うとともに、他の有機フッ素系化合物(PFOS類縁物質)による環境汚染の実態を把握する。
研究内容 (1) 化学物質環境実態調査
  エコ調査(環境省受託):大気、水、底質、生物の試料採取
(2) 有機フッ素化合物等の汚染源解明のための調査
  @PFOS、PFOA及びその代替物質まで含めた汚染源業態の解明、Aの物質の都内汚染実態の把握
  B既存標準作業手順書(SOP)の改良
(3) リスクの高い可能性のある未規制化学物質の分析法
  有機フッ素化合物の中で揮発性を有し、(2)の調査物質と分析法の異なるPFOS前駆物質等について、情報収集及び分析法の検討
 
中間評価 A1名、B4名
評価コメント ○前回も指摘したが、東京都としての主体的な取り組みという色が薄い点が気になる。技術レベルとして非常に高いことはよく理解できるが、研究課題としてみた場合の独自性がもう少し明確になることが望まれる。評価はBとしたが、Aに非常に近いBといえる。
○国の施策への堅実な対応もさることながら、首都を支える研究機関として地方自治体機関や国をリードし世界をリードする気概を常にもっていてほしい。
○本研究は環境省委託事業としての他研究所および他自治体との共同研究であることから、その中での都環境研究所の役割を明確にされたい。過年度調査研究結果との継続性、すなわち研究の流れが分かるようにされたい。
対応等 ○本研究は、他の研究機関に先駆けて、有害化学物質排出源の追跡することををテーマにしている。その部分について、よりアピールするよう心がける。
○本研究の成果等を積極的に学会等で情報発信し、他の研究機関の手本になるように努力する。
○これまでの研究内容をもう一度見なおし、研究の流れが明確にわかるように整理する。
 

 

 
研究テーマ 土壌等におけるダイオキシン類の発生源解析に関する研究
研究期間 20年度〜22年度
研究目的 都内に存在するダイオキシン類高濃度汚染事例の汚染機構を解明するとともに、ダイオキシン類の生成原因や生成機構を解明して、高濃度汚染土壌の適切な処理を推進する。
研究内容 (1) 高濃度汚染事例の汚染機構解明
 @ 地歴や共存物質等を含めた包括的なデータによる原因の解明
(2) 発生源解析に関する研究
 @ 電解等生成実験等におけるダイオキシン生成機構の解析
 A PCB製品の大気環境への拡散実験
 B ローボリウムエアーサンプラを用いた一般大気環境におけるダイオキシン類の測定
 C 正確な解明調査のための検証方法の検討
中間評価 A3名、B2名
評価コメント ○成果を学会等で積極的に発表して、成果の信頼性を高める努力をしてはと思う。
○東京都における高い分析能力が十分に活かされていると評価できる反面、得られたデータからどういう解析を行ってどういう結論が得られるのかが、現時点ではあまり明確になっていないように思われる。当初よりその部分は2年目が中心であったので、次年度への期待を込めてA評価とした。ただし汚染機構解明や発生源解析には、既往研究例も少なくないことから、十分な既往研究調査を行った上で独自性を高めるような配慮が必要といえる。
○過去の遺産ばかりでなく、現在でもPCB汚染等が思わぬ所で生じている。新たな規制対象物質の増加にも適切に対応しつつ、定常的な監視の目をゆるめずに適正な化学物質利用と安全、安心の社会構築・維持に継続して貢献してほしい。
○3年間の継続研究計画の中で、当該年度の位置付けを明確にされたい。当該年度の研究内容は、土壌汚染の新たな発生源解明に向けた重要なものと考えられるが、実施項目が多岐にわたっており、担当者数を考えると研究対象項目を絞る必要があるように思える。
○発生源についての知見が得られたとき、処理についても研究を行うことが必要ではないか。
対応等 ○6月に行われる環境化学討論会だけでなく、ChemosphereやORGANOHALOGEN COMPOUNDS等国際学会誌への投稿によって国内外で発表することで、研究成果への信頼性を高めていきたいと考えている。
○ご指摘頂いたように、既往研究については十分な調査を実施する。また、本研究の食塩電解におけるダイオキシン類の生成は、国内での報告事例がほとんどないことから、独自性の強い研究となっている。一方で、解析方法が不十分な点もあり、来年度以降、指標異性体の選定や共存物質の種類・組成を使った包括的な解析手法の確立を進めていきたい。
○ご指摘頂いたように、過去の遺産に限ることなく、環境負荷が懸念されるようなPCB含有物等については、研究対象に組み入れていきたい。
○本年度は、汚染土壌等における発生源解析のための実態調査や食塩電解中の共存物質に関する基礎調査の年と考えている。また、実施項目については、行政からの要望に応じて、優先する対象項目を選定していきたい。
○処理に関する研究については、行政からの要望もあり、重要な課題と考えている。継続的に文献調査等の情報収集は実施しているので、今後行政と相談の上で優先順位を決めて決定していく。

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