気候変動への適応策

東京都では、令和3年3月に、気候変動適応法第12条に基づく「東京都気候変動適応計画」を策定し、①自然災害、②健康、③農林水産業、④水資源・水環境、⑤自然環境の5つの分野ごとに、今後の主な取り組みを下記のとおり取りまとめました。
東京都気候変動適応センターは、気候変動に関する情報を収集・整理・分析することなどを通して、東京都が推進する適応策を積極的に支援していきます。

自然災害

激甚化する豪雨や台風に伴う洪水、内水氾濫、高潮、土砂災害等の自然の脅威に対して、ハード・ソフト両面から、最先端技術の活用、都市施設の整備を推進します。 近年の台風の大型化や豪雨の頻度増加に対処するため、施策の更なるレベルアップを図ります。

・河川における護岸や調節池の整備
・無電柱化の推進
・地下鉄等における浸水対策
・水防災情報の発信強化  など

健康

熱中症や感染症などの患者発生、大気汚染による健康被害の発生など、気温上昇による健康影響を最小限にするため、適切な予防策や対処策の更なる強化を図ります。

・クールスポットの創出
・遮熱性舗装等の整備
・スマートポールの整備・活用
・蚊媒介感染症対策
・PM2.5・光化学オキシダント対策  など

農林水産業

気候変動の影響による栽培適地の変化、品質低下、台風被害などの懸念に対して、気温上昇などに適合する品目・品種への転換に対する技術支援・普及対策、農業施設の整備、海洋環境の変化等の影響調査を行い、強い農林水産業を実現していきます。

・東京型スマート農業の推進
・山地災害に強い森林の育成
・水産物供給基盤整備  など

水資源・水環境

高品質な水を安定して供給するため、厳しい渇水や原水水質の悪化等に対し、リスクを可能な限り低減します。 合流式下水道の改善や高度処理施設の整備による水質改善、河川や運河における水質の維持・改善を通じて快適な水環境を創出します。また、継続的にモニタリングを実施していきます。

・水源林の保全管理
・下水の貯留施設の整備
・処理水質の向上  など

自然環境

気候変動の影響による生物の分布の変化など、生物多様性への影響を最小限にします。また、レジリエンスを向上させるため、自然環境が持つ機能の活用や回復に関する取組の強化を図ります。

・生物多様性地域戦略の改定
・貴重な生物多様性を守る保全地域の拡大
・多摩の森林再生
・緑の創出・保全
・野生生物の適正管理  など

東京都気候変動適応計画の詳細についてはこちらをご覧ください。
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/policy_others/zeroemission_tokyo/adaptation/plan.html

東京都環境科学研究所の研究を活用した事例

大気汚染対策に反映した調査研究の事例

大気汚染物質の排出削減等
・PM2.5と光化学オキシダントの濃度低減に向け、工場等の対策や自動車環境対策、事業者による自主的取組の促進など、多様な方法により原因物質の排出削減を進めます。
・大気汚染物質やその原因物質が都県境を越えて移動することから、九都県市等と連携してメカニズムの解明や対策を実施します。
・5G・AI等の最新技術を活用した大気汚染対策につなげていくため、大気環境データのオープンデータ化を推進します。

1 RPA:Robotic Process Automationの略で、人間がパソコンで行っている入力や照合等の作業を、あらかじめ設定したプログラムに従って自動的に処理する技術

水質監視や水生生物の調査研究の事例
・水質のモニタリングや水生生物の調査研究を継続的に実施することにより、施策効果の検証や水辺環境の改善状況の把握をし、今後の施策に生かしていきます。