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国立研究開発法人 産業技術総合研究所 加茂博士 ヒアリング概要

2020.04.27

加茂 徹 工学博士

国立研究開発法人 産業技術総合研究所

環境管理研究部門 資源精製化学研究グループ

招聘研究員

 

 

今後の廃プラスチック市場について、2020年3月11日にヒアリングを実施しました。

 

1. 望ましい絵姿

  • いかに焼却・埋め立てから上位のリサイクルに移行させるか。

→ 一つはきちんと選別して良いものはマテリアルリサイクルとしようというものだが、集め方が課題。分ければ資源、混ぜればごみというが、なるべく混ぜないようにすることが大事。また、混ざっても選別ができるようにトレーサビリティを確保するのが良い。例えばリースされているコピー機のように、製品が戻ってくる形を作ってほしい。

 

→ もう一つはケミカルリサイクルで、日本で運転されている最大のものにコークス炉化学原料化法がある。理論上、処理能力的には100万トン程度受け入れられる。コークス炉での処理が成功したのには主に2つの理由がある。1つは5060年前に建設され減価償却が完全に終わった既存の大型施設を使用した点であり、2つめは残渣を含めて出てきた製品を全部使える点にある。

 

→コークス炉と似たような産業は石油精製と石油化学だろうと思っている。有機物を化学原料や燃料に転換し最適に使う技術は石油精製・石油化学産業が一番知っている。ESG等の環境金融によって投資家側に変化が出てきたことで、石油産業を有機資源の循環センターとして使わないかという話に対する風向きも変わってきた。

 

2. 廃プラ緊急対策について

  • 中国では処理費が安いため、マテリアルリサイクルができていた。中国が輸入を禁止して輸出できなくなった排出元や廃プラが今どうなっているのか知りたい。かつて輸出され海外でマテリアルリサイクルされていた廃プラは他の物に比べれば品質が良く、国内でマテリアルリサイクルの最初のターゲットになるのはそれらのプラスチックだと思う。

 

 

  • メーカーとリサイクラーが連携してリサイクルし易い製品を開発することも必要。方向性は2つあり、1つはモノマテリアル化で、単一素材や親和性の高い材料で作ること。多層材はバリア性が高く食品容器に用いれば食品ロスを減らすことができるが、現状ではマテリアルリサイクルは難しい。例えば食料の流通を考えた場合、基本は地産地消で高度な容器はいらない。しかし長期保存が必要なものもあり、それらにはちゃんと多層材の容器を使う。全体の環境負荷が最小になるようメリハリを付けてやっていかないとうまくいかないだろう。

 

→ 多層材を廃棄する場合、現状ではエネルギー回収するのが最も妥当。アルミ蒸着(金属)や顔料があるとケミカルリサイクルでも処理は難い。

 

 

3. 今後の方向性について

  • 製品設計の他、トレーサビリティや表示が大事。また、将来はデータベースがあると効率的な資源循環が可能となる。まずは有害な物質が何処にどの程度含まれているのか、次に有価な物質の情報もメーカーから静脈産業へ流してほしい。

 

→ 最初はデータを出す側は嫌がるかもしれないが、将来はデータベースに情報を提供しないと環境適合性が低いと見なされ、市場に製品が受け入れてもらえない時代が来る。メーカーやリサイクラーから使用料金を徴取し、データベースを経済的に自立させることが重要。

 

→ データベースは非常に便利だが、資源循環を支配する可能性があり怖い話でもある。ただ、国がやると非効率。日本の産業の生産性を上げるため、ものづくりから制度やデータで稼げるようなビジネスへ移行する必要があり、リサイクル産業も目指すべき先は同じだと思う。

 

 

  • 製品の価値はこれまで市場において「価格」と「品質」で評価されてきたが、これからは更に「環境」と「倫理」と言う新しい2つの物差しが加わる。各製品がこれらの4つの物差しで評価され、どの程度の価値があるのかを消費者が簡単に判断できるよう「見える化」する新しい認証制度が必要である。

 

SDGsに始まり、価格と品質の他に環境や倫理も加味し、新しい価値を取り入れた先進的な企業を伸ばしていこうという動きが「エシカル消費」である。消費者は購買を通して企業に大きな影響を与えることができ、環境や倫理に配慮した賢い消費が持続可能な社会を構築することに繋がると言える。