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ワンウェイプラスチックの水平リサイクルに向けた資源循環型モデル事業への取材part1

2020.10.26

 

概要

 202092日に東京都(以下、都)における「プラスチックの持続可能な利用に向けた新たなビジネスモデル」に選定された花王株式会社(以下、花王)の「ワンウェイプラスチックの水平リサイクルに向けた資源循環型モデル事業」について、公益財団法人東京都環境公社(以下、公社)が取材しました。

 

 ※ワンウェイプラスチックの水平リサイクルに向けた資源循環型モデル事業

 https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/resource/recycle/single_use_plastics/company.html

 

取材内容

花王株式会社

マテリアルサイエンス研究所 副所長

リサイクル科学研究センター センター長

南部 博美 様

 

(公社)

 御社では、2018年に「私たちのプラスチック包装容器宣言」の公表をはじめ、プラスチック資源の国内循環に関する様々な取組に以前から力を入れているところかと思いますが、今回、本事業の実施に至った経緯について、具体的に教えてください。

 

(花王)

 理由は、以下の3点である。

 ①20191月に発足したCLOMA(※1)初代会長に弊社社長の澤田が任命され、日本全体におけるプラスチック資源循環に関して先導していく立場になった。バリューチェンを踏まえた他社との連携を活かし、自治体や行政と協働するというCLOMAのモットーに則り、CLOMAの会員と一緒に事業運営していくことになった。

(※1CLOMA「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス」

   (英文名:Japan Clean Ocean Material Alliance、略称「CLOMA」)

 

 ②2018年に発表した「私たちプラスチックの包装容器宣言」に加えて、20194月に発表したESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」、9月に発表した「未来に向けた花王グループの新たな挑戦」の中で言及した、プラスチック循環社会に向けた「リデュース/リサイクルイノベーション」である。この発表の中で、花王として初めて、廃棄処理という言葉と、リサイクルという言葉が登場し、花王としてもリサイクルに本格的に取り組むという経営者としての強い決意を示した。

 

 ③2020年の5月に、花王の研究開発部門にリサイクル科学研究センター(※2)が発足し、いよいよ具体的なアクションに移すステージに来た。

(※2)リサイクル科学研究センター

 花王において、自社独自のESG(環境・社会・企業統治)戦略である「Kirei Lifestyle Plan」を具現化させるリサイクルイノベーションを背景に設立。花王として大きな責任があるプラスチック利用商品について、持続可能な未来のあり方を模索し、プラスチック資源循環モデルの事業開発を推進。特に詰め替えパックのリサイクルを進めている。

 


(公社)

 本事業では、業界の枠を超えて多様な主体が参画されておりますが、参画することになった経緯について教えてください。

 

(花王)

 弊社の取組が社会的に認知され、日本全体に同じような動きが広がっていくことを望んでいる。そのためには、本事業を社会的に賛同が得られる事業にしていく必要があり、得られた知見を他社に共有していくことが重要だと考えている。

 私自身、今年からCLOMAWGメンバーとして活動を開始し、CLOMAメンバーの中で、「プラスチック循環型社会を形成していきたい」という志を同じくする企業に声を掛けた。5月に策定されたCLOMAアクションの具体的な成功事例をつくるためである。

 


(公社)

 本事業では再生材を使用したボトルと、資源循環に配慮した単一素材の透明なパウチへのリサイクルとしていますが、これらの品目とした理由を教えてください。

 

(花王)

 理由は以下の2点である。

 ①水平リサイクルの実証実験を実施するうえで、自社内で品質評価ができる。

 ②特に、パウチは日本の優れた技術によりプラスチック使用量削減に貢献してきた容器であるので、このリデュース優等生であるパウチをリサイクルする事が、最もエネルギー的にも少なくて済む。

 一方で、パウチは一般的に、プラスチックボトルの1/10程度の約0.1㎜という非常に薄いプラスチックフィルムの高機能化により、強度やバリア性(紫外線や酸素、水蒸気等の成分を遮断する機能)を調整している。

 そのため、パウチを製造する際は、強度やバリア性を高めるために様々な素材を複合することになり、マテリアルリサイクルが難しくなってしまうという課題がある。良質なリサイクル材に変換するポイントがモノマテリアル化と考える。

写真左                    写真右

  既存のパウチ及びボトル           モデル事業のパウチ及びボトル

(複合素材)                 (単一素材)

 


 

(公社)

 御社は本事業の全体設計を担っておりますが、事業を進めるにあたって課題になったことや苦労したことなどありましたら教えてください。

 

(花王)

 「プラスチック循環型社会を作りたい」という志や思いは同じなので、大きな課題は無いが、主に関係者との実行スケジュール及び事業スキーム調整や花王社内での調整など、具体的に実行するにあたって苦労した部分はあった。

 


 (公社)

 本事業の実施スケジュールを教えてください。

 

(花王)

 来年2月のサンプル配布に向けて、以下のスケジュールで動いていく予定である。

  ・20209月:キックオフ

  ・20201011月:パウチ/ボトルの試作、アンケート内容の設計、ラベル及びハンドソープの調達と充填条件/設備設計

  ・2020121月:パウチ/ボトルの本生産、ラベルの貼り付け、ハンドソープ充填、アンケート実施

 


 (公社)

 本事業の実施にあたり、今後期待される効果を教えてください。

 

(花王)

 以下の3点が挙げられる。

 ①ワンウェイプラスチックの水平リサイクルに向けた取組が、プラスチック利用業界全体で加速していくこと

 ②また、その為のキーとなる技術として、容器のモノマテリアル化が有効であることが示されれば、モノマテリアル化技術の進化と活用が進むこと

 ③CLOMAという枠組みの中で、業界の枠を超えて多様な主体が参画すれば、個社では出来ない新たなイノベーションや仕組みが加速すること

 

今後の予定

 本事業の進捗については、次回「ワンウェイプラスチックの水平リサイクルに向けた資源循環型モデル事業への取材part2」で報告します。

 

 花王株式会社 南部様、取材へのご協力ありがとうございました。

 

 以上