温暖化など地球規模の環境影響に関連する項目を測定しています。 1993(平成5)年度より新宿区西新宿(都庁第一庁舎)、江東区新砂(環境科学研究所)、町田市能ヶ谷の3地点で二酸化炭素、フロンの測定を開始し、現在は紫外線等も加え江東区のみで測定を続けています。これらの項目の中には、数十年単位で見ないとその変化がとらえられないものもあるので、長期にわたり測定を行う必要があります。 |
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注) ○、●の見方の 例 1) CO2は温暖化の原因物質。 2) オゾン層の破壊によって紫外線の地表への到達量が増加し、 その結果紫外線による健康影響が増大。
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炭酸ガスともいいます。化石燃料などの燃焼や、動物の呼吸などによって発生します。また、植物の光合成や海洋により吸収されます。世界の平均的な大気中濃度は、産業革命以前は約280ppm(0.028%)でしたが、化石燃料の使用等により上昇し、2005年には379.1ppm(世界気象機関調べ 、人為的な汚染の少ない地域の平均)となっています。都市域では社会・経済活動 の影響により、これより高い傾向があります。
測定結果の概要 図1に江東区で測定したCO2の月平均濃度を示します。夏に低く、冬に高い変動を繰り返しながら、年を追って上昇する傾向が見られます。図2に示したように13年間の平均で見ると、季節的な変動がより明瞭になります。夏場は植物の光合成が盛んになることや、冬は暖房などの燃焼が多いことが要因と考えられます。 図3には、江東に加え、気象庁が測定している岩手県の綾里(人為的な影響が少ない地域)の年平均を示します。図1と同様に上昇傾向が見られますが、近年、江東では上昇傾向が鈍化し、綾里との差が小さくなっています。ただし、この結果は都内のCO2対策が進んだことを示しているわけではありません。東京都が推計した都内のCO2排出量は、原子力発電所の長期稼動停止の影響で2001年度以降増加していますが、発電におけるCO2の排出は実際は発電所のある地域(東北地方など)でなされるため、自動車などの影響が大きい都内環境のCO2濃度とは必ずしも相関しないと考えられます。
もっと詳しく!→ 年報掲載論文 東京都内における二酸化炭素モニタリング結果について(2006)(PDF92K) 二酸化炭素濃度の地域格差に関する検討(2002)(PDF438K) 第9回公開研究発表会「地球環境関連項目のモニタリング結果について」 (2004年1月、配布資料(PDF57K)、スライド)
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一酸化二窒素。人間活動による発生源として、物質の燃焼や農林業における窒素肥料の大量使用、化学工業などあります。 また、自然界(土壌や海洋)にも排出源があります。排出量のうち約3分の1は人間活動によるもので主として農業によるものです。 亜酸化窒素は大気中に114年と長く残留し、成層圏での光化学反応(太陽光による破壊)によって除去されます。 大気中濃度は、産業革命以前のレベルは約270ppbでしたが、 産業革命以後上昇しており、2005年の世界平均濃度は319.2ppbとなっています。 (参考/WMO温室効果ガス年報第2号,2006年、IPCC第4次評価報告書,2007年気象庁暫定版)
測定結果の概要 図4、図5に江東区で測定したN2Oの月平均濃度を示します。1995年度以降の変化では、わずか に上昇傾向であり、明確な季節変動は見られません。ばらつきも大きいので、さらに長期的に見ていく必要があります。 図6に示したように江東は、1997年度以降緩やかに上昇しています。岩手県の綾里(気象庁測定、人為的な影響が少ない地域)とほぼ同濃度・同傾向で、地域的な違いはほとんどないといえます。 なお、測定装置劣化により2006年10月でN2O観測を終了しています。
もっと詳しく!→ 年報掲載論文
東京都における亜酸化窒素(N2O)の長期モニタリング結果 第9回公開研究発表会「地球環境関連項目のモニタリング結果について」 (2004年1月、配布資料(PDF57K)、スライド)
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(参考/IPCC第 三次報告書,2001)
測定結果の概要 図7に江東区で測定したSF6の月平均濃度を示します。CO2ほど明瞭ではありませんが、冬に高くなることが多く、全期間を平均すると図8に示したように、初夏と 冬期に高いパターンとなっています。図9のように、年平均濃度は1999年以降ほぼ横ばいで、経年的に一定の傾向は見られません。 なお、測定装置劣化により2006年10月でSF6観測を終了しています。
もっと詳しく!→ 年報掲載論文 都内の六フッ化硫黄(SF6)の濃度傾向について(2003)(PDF278K) 東京における六フッ化硫黄の大気濃度(2000)(PDF143K) 第9回公開研究発表会「地球環境関連項目のモニタリング結果について」 (2004年1月、配布資料(PDF57K)、スライド)
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フロン (CFC)
そのため、1987年には、「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」が採択され、現在、特定フロンCFCは生産中止となっています。なお、特定フロンの代替物質であるHCFC、HFCなどはオゾン層は破壊しないものの強力な温室効果ガスであることが判明したため、2020年に全廃すること が決められています。
測定結果の概要 図10に江東区で測定した特定フロン3成分の月平均濃度を示します。図11からもわかるように、 フロン12で夏季にやや高めですが、ほとんど明確な季節変動は見られません。また、図10ではフロン12及びフロン113で、経年的にわずかな減少傾向が見られます。 図12に示したように、江東では、岩手県の綾里(気象庁測定、人為的な影響が少ない地域)よりフロン濃度が高く、フロン11では2倍以上になっています。このことから、都市域に発生源が多いことが推測されます。 なお、測定装置劣化により2006年3月でフロン観測を終了しています。
もっと詳しく!→
第9回公開研究発表会「地球環境関連項目のモニタリング結果について」 (2004年1月、配布資料(PDF57K)、スライド)
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UV-A:UV-Bほど有害ではありませんが、肌のしわやたるみの原因になるほか、長期間曝露された場合の健康影響が懸念されています。オゾンによる吸収をほとんど受けないため、オゾン層に変化があっても地上に達する紫外線強度に変化はありません。 UV-B:火山の噴火等による自然現象や、成層圏のオゾン量により地上への到達量が変わります。近年、人間活動により生じる各種の物質が原因で成層圏のオゾン層が破壊され、その結果、地上に達するUV-Bの紫外線量が増加しています。 このUV-Bは、地表に届くUVでは特に生物に有害な影響を与えるため、有害紫外線とも言われています。人体への影響として、しみ、そばかす、乾燥の原因となる他、皮膚ガンや白内障の増加、免疫力の低下等が挙げられます。その他、植物の種類によっては収量が減少したり、動物プランクトンの産卵数や孵化数が減少すると言われています。 UV-C:生物にとって最も有害ですが、成層圏オゾン層により完全に吸収され地上には到達しません。
測定結果の概要 当研究所では、帯域型紫外線計によるUV-A及びUV-Bの総量とブリューワ型紫外線計によるUV-Bの波長別強度を測定していますが、ここでは、ブリューワ型紫外線計の結果を示します。 図13に江東区で測定したUV-Bの月平均濃度を示します。図14からもわかるように、夏場に高く、冬場に低くなる明瞭な季節変動があります。また、図15の経年変化からは、明確な傾向は見られません(1996年度は7月からの測定で年平均が低めになっているので参考値)。 なお、気象庁などにより全国で測定が行われていますが、地域による違いとしては一般に、低緯度(赤道に近い)ほど、また標高が高いほど、UV-B強度は強くなる傾向があります。 当研究所は国立環境研究所が中心となって組織されたUVモニタリングネットワークに参加しており、帯域型紫外線計のデータから算出されたUVインデックスが同ネットワークのホームページでリアルタイムで見られます。
東京の紫外線 速報(UVインデックス)はこちら
もっと詳しく!→ 年報掲載論文 東京都内における有害紫外線モニタリング結果について(2006)(PDF91K) 都内の有害紫外線(UV-B)のモニタリング結果につい
て 第9回公開研究発表会「地球環境関連項目のモニタリング結果について」 (2004年1月、配布資料(PDF57K)、スライド)
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