コーヒー豆の品質や産地の環境を重視するとともに、街の喫茶店のように地域とのつながりも大切にする株式会社ONIBUSへ取材をしました!

コーヒー豆の品質や産地の環境を重視するとともに、街の喫茶店のように地域とのつながりも大切にする――。そんなスペシャルティコーヒー専門のカフェを東京都内で展開する「ONIBUS COFFEE(オニバスコーヒー)」は、繰り返し使えるテイクアウト向けリユースカップを近隣のコーヒー店や飲食店と共同で利用する仕組みを始めました。その狙いやコーヒー店として今後チャレンジしたい循環的な取り組みについて、株式会社ONIBUS代表取締役・坂尾篤史さんにお話を伺いました。

―リユースカップ「CUPLES(カプレス)」を始めたのは、どのような経緯からですか。

コーヒー豆は通常商社から購入しますが、サステナビリティやトレーサビリティが大切だと言っている商品を扱っているため、その透明性を高めるためにも自分たちで産地に行くようにしています。基本的には発展途上国であり、資材や資源がない中で工夫しながら生産を行っています。コーヒー産地の一つでもあるコスタリカでは、街ぐるみでサーキュラーエコノミーが推進されていました。

CO2排出を減らすための取り組みが産地で行われている一方で、消費国では単に消費するだけの一方通行なビジネスとなっていることがずっと気になっていました。そんな時、ドイツでベンチャー企業が始めた「RECUP(リカップ)」というサービスで行政がリユースカップを買い取って数万店舗にまで広がっていることを知り、日本でもそのような取り組みをしたいと考えたのです。

―カプレスはどのようなカップで、どのような仕組みで運営されていますか。

カップはリユース食器ネットワークのポリプロピレン(PP)製プラスチックカップを使っています。2.7回利用すれば、紙カップ1個の製造で発生するCO2の量よりも抑えることができます。

アプリでカップを使用できる店舗を探したら、注文の際にQRコードを読み込むことでカップを借りることができます。カップを返却できる店舗もアプリで探せます。アプリのホーム画面では、カップを何回利用したかも確認できます。カップはほぼ100%返却していただいています。カプレスに登録している店舗は都内で53店舗。少しずつ増えてきてはいますが、まだまだ足りていない状況です。

        【CUPLES】

――カプレスをどのように広げてきたのでしょうか。

小さな良いお店がたくさんあるというのは、東京の飲食業界の良いところで、世界的にも稀です。ここ10年くらいで小さなコーヒーショップカルチャーが発達してきたこともあって、オーナー同士の横のつながりもあります。そのご縁の中でカプレスのサービスを使ってもらい、カップの循環を通じてつながり合うところに東京らしさも感じているところです。

—2022年4月オープンの自由が丘店のコンセプトは「循環」とのことですが、どのような店舗なのでしょうか。

私たちが扱っているスペシャルティコーヒーの定義には、コーヒー豆の品質だけでなく、サステナビリティやトレーサビリティも重要なものとして考えていくという言葉が組み込まれています。店舗運営の中でも、スペシャルティコーヒーの理念を取り入れています。

例えば、床材は約300年続いている酒蔵の解体材を加工したものです。自由が丘店では間伐材も使っていますが、実際にどんな山から間伐するのかなどを知らずに利用していることが多いので、設計者や林業の方々とご一緒に実際に山に行き、どのような木材を間伐するのか教えてもらいながら内装材として使っています。

【店内の床材】              

また、店舗から出るコーヒーかすの15%程度をコンポスト化して畑に撒いてもらって循環させるようにしています。こうした取り組みはスタッフと一緒に進めていて、実際にどのようなことをしているかスタッフを通じてお客様に伝えています。

        【コーヒーかすのコンポスト(左)、コーヒーかすは石けんにもアップサイクル(右)】

―カプレスをさらに広げていくことも含めて、今後どのようなことに取り組みたいですか。

気候変動などの影響で2050年にコーヒー豆が取れなくなるとも言われており、コーヒー産業界ではみんなが危機感を持っています。カプレスをもっと多くの店舗やお客様に使っていただくのはもちろんですし、将来的にはバイオプラスチックなどに変えていきたいと思っています。コンポストをもっと増やすとともに、食品ロスの削減やゼロウェイストなどの部分もさらに実行していきたいですね。


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