丹治さんと渡さんが処分場の前で並んで立っている様子の写真
Interview

東京23区「最後のごみ埋立処分場」、見に行きませんか? ~担当者の想いに迫る

東京23区では、1年間で約250万トンものごみが発生しています。清掃工場で焼却や資源化した後、それ以上の処理ができない一般廃棄物・産業廃棄物の残さ、下水汚泥などの都市廃棄物は、埋め立てるしかありません。昭和初期から東京港内に作られてきた埋立処分場は、これ以上広げる場所がなく、現在使われている「中央防波堤外側埋立処分場」と「新海面処分場」が最後の処分場になります。

処分場配置図の写真
中央防波堤埋立処分場の配置図

「最後の埋立処分場」を多くの人に見てもらうことで、ごみを減らす後押しをしたい。そんな思いで見学会を企画する、東京都環境公社(以下、環境公社)技術支援部の方々にお話を伺いました。


お話をしてくれた人
丹治 勝さん(環境公社 技術支援部 中防管理事務所 課務担当係長)
渡 壮平さん(環境公社 技術支援部 中防管理事務所 調整係)


見学会でしか見られない、ごみの一生の最後

新海面処分場の写真
新海面処分場の様子。焼却残灰などが高く埋め立てられている。

埋立処分場の見学会は、いつどんな形で行われているのでしょうか?

丹治さん:環境公社では年間を通じて、小・中・高・大学生、親子、一般都民の方、企業関係者など、どなたでも参加できる様々な見学会を開催しています。環境公社が独自で企画する見学会は年間約40回あり、特に夏休みは多くの親子が参加してくれていますね。また、企業の研修の一環として参加される方も結構いらっしゃいます。その他、学校の社会科見学では、小学生を中心に年間で約4万人以上もの子どもたちが埋立処分場を訪れています。

―見学会は、どのようなプログラムなのですか?

渡さん:プログラムの一つである「清掃工場・埋立処分場見学会」の例をご紹介しましょう。収集されたごみがどのような流れで処理されていくのかがわかるよう、1日かけて清掃工場と中央防波堤外側埋立処分場を大型バスで巡ります。

まず清掃工場で焼却の様子などを見学した後、東京のごみ処理に関する歴史や現状を映像で学びます。その後、中央防波堤外側埋立処分場では、不燃ごみ・粗大ごみの破砕・選別の様子や、ごみが埋め立てられる場所を見学します。ごみ処理事業に関わるベテランのスタッフが、現場に同行しながら解説も行う貴重なプログラムです。

自分の目で見る衝撃 それを行動の一歩に

渡さんの写真
見学会の企画や準備を行う渡さん

―実際に自分の目で見ると、相当なインパクトがありますよね。

渡さん:そうなんです。実は私自身、学生時代から森林生態学を研究してきたものの、ごみ処理の実態はこの仕事に就いてから深く学びました。初めて埋立処分場を訪れて、ごみ処理の限界を目の当たりにしたときの衝撃は大きかったですね。日々の業務の中で、埋め立てられた山が日に日に高くなるのを見ているので、危機感は大きくなる一方です。

参加者の方々も、東京港が一望できる見晴らし広場で、最後の埋立場所である新海面処分場を見て、限界がすぐそこに来ていることを実感してくださっています。また、処分場から出る汚れた浸出水やその浄化処理に必要な集水池・調整池、ごみから発生するメタンガスを発電に利用するための設備なども見ていただくので、ごみ処理から派生する問題を現場で実感できる機会になっています。

―参加者の皆さんの反応・反響はいかがでしょうか。

見晴らし広場から最後の埋立場所を見る参加者の皆さん

渡さん:多くの参加者の方が「こういう現状を今まで知らなかった」とおっしゃいますね。見学会後のアンケートには、例えばこんな声が寄せられています。

「埋めたものは長い時間をかけて自然に還ると思っていたのですが、過去の層や今埋めている場所を見て、ごみは永遠にごみのままだと確信できました。ごみを減らそうという気になりました」

「埋立処分場で出る水のことなど考えたこともなかったです。きれいな水にしてから放流するのですね。ごみを捨てるという行為が、あらゆる環境問題に繋がっているのだなと思いました」

「過去の廃棄物に対しても、埋めたから終わりではなく、これからも責任を持って管理していくべきなんだと感じました」

―見学会を通じて、参加者にどんな変化を期待していますか? そのために工夫されていることはありますか?

渡さん:とにかく一人ひとりがごみを減らすために、3R(リデュース・リユース・リサイクル)を実践してもらえたらと思っています。後から見学会での体験を振り返ったり、周りに共有してもらったりできるよう、見学MAPや見どころを紹介する動画、ごみやリサイクルに関するクイズ動画なども作っています。

一人でも多くの人に現場を訪れてほしい 発信強化中!

丹治さんの写真
見学会事業を統括する丹治さん

―今後どのようなことに力を入れていきたいですか?

丹治さん:東京都は「ゼロエミッション東京」の実現を目指して、2035年までに廃プラスチック焼却量の50%削減(2017年度比)を目指しています。ごみ削減に向けた意識や関心を広げるきっかけとして、とにかく一人でも多くの方に見学会に参加していただきたいです。そのために、ウェブサイトやSNSでの発信を強化していく予定です。見学会の魅力がもっと伝わるよう画像や動画を交えたウェブサイトや、インフルエンサーを含め様々な人にリポストしてもらえるようなSNS投稿などにしていきたいですね。

―様々な組織と連携しながら、多くの人に興味を持ってもらう仕掛けにも取り組まれているそうですね。

丹治さん:先述の清掃工場の他、東京都港湾局とコラボした海と陸からの見学会、NPO法人等と連携した食品ロスを考える見学会を実施しています。また、夏休み期間には親子向けにスイソミルとのコラボ見学会も実施しています。
今後も、様々な切り口から、できるだけ多くの層・世代に届く仕掛けや発信に取り組んでいきたいです。

―最後に、皆さんへメッセージお願いします。

丹治さん:百聞は一見にしかずで、実際にこの最後の埋立処分場を訪れていただくと、多くの発見や気づきがあります。見学会は年間を通じてたくさん開催していますので、ぜひまずは参加してみてください!

\見学会の詳細はこちら/