Comic

特別マンガ『泣き虫オロン』 佐々木充彦

街中で、分別せずに捨てられてしまった空き缶。「ちゃんと分別しろよ〜」。少年がとがめると、愛らしい見た目をした不思議な生物・オロンがあらわれて……。

あしたの地球をつくるために、一人ひとりはどんなことができるのでしょうか。漫画家の佐々木充彦さんが特別に描き下ろした作品『泣き虫オロン』をお届けします。

「ねー次どこ行く?」「カラオケ?」「え〜」「じゃあどこよ」 缶を飲み干してポイ捨てしている様子 「ちゃんと分別しろよ〜」「細けーっ!」「いーだろ別に〜っ」
モゾ...モゾモゾ...ヒョイ ごみ山の中からオロンが顔を出す
オロンが缶ごみをムシャムシャバリバリと食べる。「ぐず」
オロンがうわーん!!と泣く。 題「泣き虫オロン」
「なんでごみをちゃんと分別しないんだっ」「ごみが混ざるとまずくなるだろ」「ひいっ」「な...なんなんだ」「一体?」「やい人間ども」「ハイッ」「今日という今日はゆるさないぞ」
「オレにごみをたらふく食わせろ」「...。」「返事はっ!?」「ハイッ」
不燃ごみ置き場でオロンがばくばくばくとごみを食べる。「ど...どーですかお味の方は」「まずいっ」「ペットボトルも入ってるじゃないか」「全然分別できてな〜いっ」
「じゃあ...ここはっ!?」可燃ごみ置き場でオロンがごみを食べる。
「まずいっ」「まずい」「まずい」オロンがガツガツごみを食べながら大きくなる。「オ、オイ」「なんかどんどん巨大化してないか!?」「ちゃんと」
「分別されたウマいごみを食わせろ〜っ!」
「早く〜〜っ」「ごみ」「あるとこ分かる?」「え〜っ」「あ!」「たしか学校のウラ山に...」学校裏のごみ置き場に移動する
「やっぱりマズイ〜ッ」オロンはどんどん大きくなる「ちょっと...」「とまんないって」「ど」
「どーすんのコレ〜っ!?」オロンが巨大化し、山より大きくなる。
「電池」「スマホ」「マズイ」「胃が」「ムカムカしてきた」「わっ!」
「マズイ〜〜〜ッ!」大きな声を出し、子どもたちが驚く。
「どば〜っ!!」
オロンの口から大量のごみが吐き出され、街中に散らばっていく。
子どもが目の前に飛んできた空き缶を空中でキャッチする。
「ダメ」「ちゃんと」「分別!!」「分かった?」空き缶をキャッチした子どもが言う。「ハイ!?ハイ!ハイ!!」「分別!分別!分別!!」「缶のごみ箱どこだっ」「ごみばこごみばこ」「ひっ」大きくなったオロンが見える「でっ...」
オロンに見えたものはリサイクルボックスだった。「まったく...気を付けてくれよな」リサイクルボックスに空き缶を入れる
「手遅れにならないようにサ...」「どーしたんだよ急にっ!」「いきなりこえーよ!」
佐々木充彦さんのプロフィール画像
佐々木充彦
漫画家・イラストレーター

1983年1月26日生まれ。福岡県北九州市出身。『インターウォール』(ピエブックス)が文化庁メディア芸術祭審査員推薦作品を受賞。イラストや装丁、MV用アニメなども手掛けている。