東京都環境科学研究所

都市地球環境

地球温暖化や生物多様性喪失等の地球規模の影響が都市環境の課題を複雑化しています。当研究所では都内の暑熱環境に関する研究、都市大気環境のトレードオフに関する研究、緑の多様な機能の評価、気候変動適応策導入手法の研究など、相互に関連する課題について、複合的な視野に立って研究を進めています。

主要研究課題

1.都内の暑熱環境に関する研究

 IoTセンサによる気象計測、リモートセンシングによる都市表面温度の計測、暑熱環境シミュレーション(熱流体解析等)、ビッグデータ解析などを通じて、都内の暑熱環境に関する調査研究を実施しています。これは主に都受託研究として実施しているもので、都のヒートアイランド対策のさらなる推進に資する科学的知見を提供することを目的とし、都市再開発に伴う緑地創出等がもたらす暑熱環境改善の効果や課題などについて研究しています。

IoTセンサ
ヘリによる都市表面温度計測
暑熱環境シミュレーション
ビッグデータによる日陰分析

2.都市大気環境のトレードオフに関する研究

 現在の都市大気環境研究における主要なテーマである「高温化」「緑化」「大気浄化(大気汚染改善)」の間の相互作用やトレードオフ(二律背反)について研究しています。例えば、大気汚染改善が地上における日射量や気温にどの程度の影響を及ぼすのか、気象モデルによる数値シミュレーションなどから推計したり、都市高温化や都市緑化による大気汚染物質生成への影響について、大気化学輸送モデルなどを用いて調べています。このように、都市大気に内在する種々の相互作用やトレードオフを分析し、より快適で持続可能な都市環境を創出するための施策に寄与することを目的として研究を実施しています。(日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究(B)17H01926)

研究概要
大気汚染による気温低下量

3.緑の多様な生態系サービス・便益評価の研究

 緑の多様な機能による社会的便益を定量的に評価することで、緑化の費用対効果を明確化し、緑化推進の政策的根拠を提供します。また、緑の価値を分りやすく示すことで市民理解を醸成し緑化を進めやすい環境を創出することを目的とする研究です。

米国農務省の緑評価システムi-Treeを東京都で利用できるように改修し、暑熱緩和機能、生態系保全機能などの新たな評価システムを追加的に構築して、合わせて緑のより良い配置など面としての評価を目指しています。

さらにi-Treeの実装例を調査し、世界の自治体における評価システムの実装、活用方法の調査を行い評価方法と合わせて実装・活用方法も行政に提案できる研究を行っています。


4.自治体における気候変動適応策導入手法の研究

 2018年施行の気候変動適応法により、気候変動適応計画策定が自治体の努力義務となりました。適応策特有の課題を克服し、効率的かつ機能する適応策を立案・計画するための計画策定手法を研究しています。

 海外先進都市の適応策計画手法の調査・研究を通じ、日本の社会システムに合った計画策定手法を構築しています。さらに、都内の自治体と協働した適応計画の策定過程を通して、手法上の課題の克服やより実効性のある計画手法の検証を行い、行政に対してより良い計画手法を提案する研究を行っています。

技術支援

1.気候変動分野における国際環境協力にかかる技術支援

 気候変動分野には東京都だけでは解決できない課題が多くあり、都はC40やICLEIといった都市ネットワークに参加し、世界の先進都市と協働することで気候変動対策を推進しようとしています。

当研究所では、都の気候変動対策を国際的にも継続的かつ効率的に進められるように、上記都市ネットワークにおける国際会議等での情報発信や海外都市の最新情報の収集、海外都市来訪時の対応など、専門的見地から支援を行っています。

C40の国際会議における意見交換