東京都環境科学研究所

化学物質

国内外で新規に製造・使用される化学物質の種類は年々増加しており、我が国でも現在5万種類以上の物質が流通しているといわれています。
そこで、都内において環境影響を及ぼす可能性のある化学物質を選定し、環境実態調査を通じて排出源や環境リスクの解明を進めています。

主要研究課題

1.有害化学物質の分析法・環境実態の解明及びリスク管理に関する研究

 研究対象とする化学物質は、PRTR*から得られた情報や国内外の文献等の様々な情報を精査し、選定しています。選定した化学物質については、大気や水質等の媒体別に試料の採取、分析を進めています。測定対象物質の多くは、ng/L(1リットルあたり10億分の1グラム)レベルの極微量で存在しているため、分析には高速液体クロマトグラフ質量分析計をはじめとした極めて感度の高い装置を使用しています。

分析結果(環境中の濃度)に対して、毒性情報を活用して環境リスク評価を行っています。

さらに環境省が毎年実施している「化学物質環境実態調査」事業にも参画し、ポリ塩化ビフェニル(PCB)をはじめとした環境残留性の高い化学物質等のモニタリング(大気、水質、底泥、水生生物(スズキ)を媒体として)にも協力しています。

リスク評価を実施した化学物質は、学会発表や本研究所の年報等を通じて積極的に情報発信しています。

*化学物質排出把握管理促進法に基づき、有害性が疑われる化学物質が、どこから、どのくらい、環境(大気・水域・土壌など)中へ排出されているか、廃棄物などとして移動しているかを把握し、集計・公表する仕組み。

高速液体クロマトグラフ質量分析計