東京都環境科学研究所

都市ごみ焼却灰の循環利用に関する研究(2018-2020年度)

 

平成31年度外部研究評価委員会 継続研究の中間・事前評価

研究テーマ
都市ごみ焼却灰の循環利用に関する研究
研究期間 2018年度~2020年度
研究目的 都市ごみ焼却灰が、セメント原料の代替として活用され始めている一方、都市ごみ焼却灰に含まれる塩素や、銅や鉛等の有用金属はセメント工場では阻害成分であり、焼却灰の受入量の制限要因となっている。このため、都市ごみ焼却灰中の塩素を効果的に脱塩するとともに、金属資源を種類ごとに効率的に分離回収する調査研究を行い、実用化に向けた情報発信を行う必要がある。
研究内容
  • ○物理選別による金属分離回収の高効率化
  • ○効果的な脱塩手法の検討
2018中間評価 A 2名、B 3名、C 1名
評価コメント及び対応
  • 循環型社会形成の一助になる研究である。資源の有効利用の面からも研究を継続して推進してほしい。
 
  • 研究手段・方法等は適切であり、着実に研究が進められていると思われるが、研究目標については、現場の状況とは別に、本研究の位置づけとして金属の分離効率、塩素の除去効率の目標値をある程度定量的に設定したほうが良いのではないかと思われる。成果公表は積極的に行われていると評価される。
  • 金属の分離効率、塩素の除去効率については、セメント受入基準等をもとに検討します。
 
  • 研究の目的、手段が明確で、焼却灰の塩素除去条件が明らかにされていること、積極的に外部報告していることは高く評価できる。
  • 都市ごみ焼却灰の循環利用は、都民の生活と環境改善にとって重要課題であり、評価できる。
 
  • 都市ごみ焼却主灰の物理選別手段として、乾式比重選別機(エアテーブル)を用いているが、焼却主灰の処理として本方式が妥当かどうか、事前検討(情報収集)は十分であったのか。本来は机上で各種処理方法を比較検討の上、実験方法を選定するものではないか。脱塩処理において炭酸ガス+温水脱塩が有効であるとの結果が得られた点については、炭酸ガス、温水共に清掃工場では容易に入手できるものであるため、実用性が高く、一定の成果が得られたものと評価できる。
  • 欧州や国内の事業者による焼却主灰の物理選別は磁力選別、分級、渦電流選別、比重選別等、ある程度処理方法は限られています。鉄くず除去や選別効率向上のため、磁力選別、分級は必須です。2018年度は磁力選別+分級後の焼却主灰の乾式比重選別に重きを置いて実験しましたが、今後は渦電流選別も組み合わせた上で総合的な物理選別方法を検討していきたいと考えています。
 
  • 技術情報収集におけるヒアリング先の事業者とは、民間事業者であるのか。
  • 物理選別、脱塩試験とも、実験によって段階的に有用な知見の獲得が進んでいることがうかがえる。
    ただ、民間事業者からの聞き取りに関する記述など拝見すると、現場の方が既に技術的検討で先行しているのかとも思われ、できればもっとその方面からの情報収集も実施されてはどうなのかと感じた。
  • これまで物理選別技術、脱塩技術については民間事業者にヒアリング、現場調査を実施しています。民間事業者による物理選別では焼却主灰からの貴金属回収に主眼が置かれる傾向にあり、選別前後の有害金属等の含有量、回収率はほとんど明らかにされていません。このため、ヒアリング等による情報も参考にしつつ、有用金属、有害金属双方の回収技術について研究を進めていきたいと考えています。
2019事前評価 A 1名、B 4名、C 1名
評価コメント及び対応
  • 様々な条件における試験が予定されており、2018年度の研究を継続的かつ発展的に実施する研究計画が策定されていると思われる。
  • 十分でない物理選別の最適化について、妥当な計画が立てられていると考えられる。
  • 本課題は、継続して実施することに意義があり、評価できる。
  • 各サブテーマとも、前年度の到達点をふまえて着実な次段階への推進計画が打ち出されていて、次の成果が期待される。
 
  • 脱塩に薬剤を用いることが検討されているが、装置コストや強酸を用いる場合は中和剤を含めた薬剤コスト等、コスト検討を十分に行う必要があると思われる。
  • 実施設への適用には、薬剤コストや装置コストは重要な因子ですので、十分に検討していきます。