東京都環境科学研究所

評価結果 H19-2-9

平成19年度第2回外部研究評価委員会 事前評価結果

研究テーマ
自動車排出ガス低減対策の総合評価に関する研究
研究期間 18年度~20年度
研究目的  大気汚染の早期改善に向けて、自動車排出ガス規制のあり方等について国に働きかけ、メーカー等に新技術の開発普及を促し、また都独自の施策k巣を推進していく上で必要な
 ①自動車排出ガス規制の効果検証
 ②ポスト新長期規制に向けた最新排出ガス低減技術の事前検証
 ③低公害車等普及に向けた排出ガス実態の把握
を行う。
研究内容 (1) 自動車排出ガス規制等の効果検証(排気管排出レベル)
 使用過程車(新短期、新長期規制適合車)を用いて、法定試験や東京都実走行パターン等の各種モード(オフサイクルを含む。)による排出ガス(VOC、ナノ粒子、多環芳香族等の未規制物質を含む)測定・分析及び従前規制適合車との比較・検討を行う。
(2) 自動車排出ガス規制等の効果検証(環境レベル)
 道路沿道等における大気試料の採取・分析(粒子状物質、NOx、VOC等)及び交通量等の計測を行い、自動車排出ガスの大気環境への影響を調査。
(3)最新排出ガス低減技術等の事前検証
 最新の排出ガス低減技術等(尿素SCR等)を備えた車両について、シャシダイナモを用いて排出ガス測定を行い、排出ガス低減効果、未規制物質、アンモニアスリップ等の検証を行う。
(4)CO2削減に向けた自動車燃費・燃料対策の評価
 ハイブリッド車等の低燃費車やバイオマス燃料使用時の燃費・排出ガスの実態調査を行う。
事前評価 A4名、B1名
評価コメント及び対応 ・大都市部における自動車由来の大気汚染がなかなか改善されない状況の中で、東京都に課せられた使命ともいえる研究課題である。最近は全国的にみると交通量制御による対策の研究が多くなってきているが、この種の発生源対策に関する研究は依然としてニーズが非常に高い。
・近年注目されているバイオマス燃料についても計画に含めており、注目される。バイオ燃料の評価については、単に排ガス分析や部品劣化の視点だけでなく、たとえば光化学汚染への影響も視野に入れる等、多角的な視点も必要と考えられる。
・長い研究歴を背景にもつ研究で、内容的にもしっかりした提案となっており、より成果が期待される。車作りをリードできるような提言につなげてほしい。
・自動車排出ガス低減対策について、国に先んじて常にリードしてきた研究テーマであり、その内容は高く評価することができる。最終年度にあたることから、今後の課題を含めて取りまとめることを希望する.
・研究事項「CO2削減に向けた自動車燃費・燃料対策の評価」は、「都市づくりにおけるCO2削減手法検討調査」と密接に関連するため、相互の連携を念頭に研究を推進されたい。
・「光化学オキシダント対策の効率的な推進に関する研究」、「大気中微小粒子に関する総合的研究」との関連があれば,より幅広い知見が得られる可能性がある。
⇒自動車排出ガス測定が行える限られた研究機関の一つとして、その役割を十分に果たせる研究に努める。バイオ燃料の評価に当たっては、規制物質の測定に限らず、HC成分の状況にも注意を払っていく。
⇒自動車排出ガスに係る大気環境対策や温暖化対策をリードしていけるように、各国の規制動向等の把握にも努めながら、今後の研究を進めていきたい。
⇒研究のとりまとめに当たっては、今後の更なる研究発展が図れるように努める。また、「CO2削減に向けた自動車燃費・燃料対策の評価」については、都内CO2削減の取り組みの一つとして、行政の対策に繋げていけるデータ収集・解析に努める。
⇒大気中のオキシダント、微小粒子への課題に対し、自動車由来のVOC成分やNO・NO2等について、リアルワールドでの排出実態を把握し、所内での連携を深めながら成果を得るように努める。