東京都環境科学研究所

評価結果 H24-2-1

平成24年度第2回外部研究評価委員会 新規研究の事前評価結果

研究テーマ
高濃度光化学オキシダントの低減対策に関する研究
研究期間 25年度~27年度
研究目的 夏季の高濃度Ox生成を低減し、注意報ゼロレベルを達成するため、広域的な視野に立った対策の考え方を提案することを目的とする。
研究内容
  • (1)-1 : 他自治体と連携したVOC調査及びクロスチェック
  • (1)-2 : VOCの移流に関する調査(化学物質対策課と実施):連続VOC計測定地点(町田、東大和及び中間1地点)におけるVOC実測
  • (2)チャンバー試験
    VOC標準物質を用いたアルデヒド原因物質把握手法の検討
  • (3)広域データ解析
    24年度データによるOx解析
事前評価 A1名、B3名、C1名
評価コメント及び対応
  • 低減対策を提言するためには、本件は重要で急ぐべきであり、重要なテーマである。しかし、少ない予算と人材で行うには多くのことを調整、研究しなければならず大変なテーマであることは理解する。
  • 本研究の成果から、具体的な低減対策を提言することが求められている。
  • 政策提言に資するためには、原因物質の特定に加え、そのインベントリ解析が重要である。
    具体的には何がいつどこから(誰が)どれだけ排出しているのか?あるいは拡散移動してくるのかを調査・推計することがオキシダント、PM2.5、アルデヒド等々の低減対策を検討するための必須データとなる。この視点を入れて研究の内容について再検討をお願いしたい。
  • 23年度までの研究で、光化学オキシダント対策に重要なVOC排出源は、ガソリン蒸気、自動車排出ガス、塗装であることが明らかとなってきました。これは都内のVOC環境濃度から導いたものですが、ご指摘のように、排出量についても把握し、拡散移動を含め広域的にも検討していきます。
  • 光化学大気汚染は首都圏において従来から重要な課題とされており、種々の調査研究が行われてきたものの、現在も注意報発令はあまり減少せず、対策検討が望まれている状況にある。
  • 東京都環境科学研究所は、このテーマに関する種々の調査研究実績を有しており、本課題もそれらの蓄積をベースとして、さらに進んだ成果を目指すものと理解できる。
  • 特にVOCの成分分析に基づき、それらの移流や二次生成に関する知見を蓄積することは、東京都のみならず国内他地域での対策にも、有効な知見を提供するものと期待される。
  • 他自治体との連携について資料にも明記されており、重要なポイントであると考えられるが、具体的にどのような形での連携が図られるのか、実効性のある連携をどう実現していくのかについて、十分な検討が望まれる。
  • 実績としてはAレベルの評価ができるが、目標の具体性や発展性がさらに明確になることを期待してのB評価とした。
  • VOC調査については、自治体間で取り組みに差があるため、まずはクロスチェックを行い、各自治体のデータを相互に比較できるよう確認するところから始めていきます。将来的には、共同調査を行い、対策に向けた知見を共有していければと考えています。
  • 対策の効果、有効性の検証は環境モニタリングの重要な意義の一つであり、着実なデータの蓄積に基づく的確な評価を期待する。説明にもあったように、発生源からの県境をまたがった越境移動が問題になる汚染なだけに、近隣県との密接な連携のもとでの研究推進を望みたい。
  • ご指摘のように、他自治体との連携をすすめていきたいと考えています。
  • 目標は適切かつ具体的であり、手法も適切である。
  • 大陸起源、国内起源の排出源を特定することが重要である。
    広域的な気象条件(特に風向、風速)との関連が深い現象であるため、WRF (Weather Research & Forecasting Model)などの広域の流体シミュレーションモデルを利用することを考えてもよいであろう。
  • 広域シミュレーションについては、過去に行ったこともありますが、結果が十分活用されていないこともありましたので、よく検討してみたいと思います。
  • オキシダントも人の健康影響や生態系(雑木林,etc.)に悪影響を及ぼすものであるので、どの程度の悪影響を及ぼす可能性があるかを解明する一助として重要な研究である。
  • 黄砂やPM2.5と同様にオキシダントも大陸(中国)からの移流もあると思われるので、西日本で行われている研究などと比較調査しながら、都内で発生源するオキシダントと大陸からの移流によるものとの比較(大陸から飛来したオキシダントはベースラインの上昇に寄与しているか否か)も検討する必要があると思われる。
  • ご指摘のとおりですので、高濃度時にもベースラインを差し引くなど、生成量をより正確に把握したいと思います。