東京都環境科学研究所

評価結果 H26-2-6

平成26年度第2回外部研究評価委員会 継続研究の事前評価結果

研究テーマ
有害化学物質の分析法・環境実態の解明に関する研究
研究期間 2014~2016年度
研究目的 都民への有害な影響を及ぼす可能性を視点に、優先度の高い化学物質を明らかにして、その排出源等を調査するとともに環境運命を解明する。また、化学物質の都内における影響の評価手法について提言を進める。
研究内容
  • (1)都内環境実態の継続監視
    大気、水、底質、生物の試料採取及び分析(都内定点におけるPRTR法や化審法対象物質、POPs等(ダイオキシン含む)の環境残留状況調査)
  • (2)化審法関連物質に関する排出源の把握、環境運命の解明
    POPsやPOPsと似た性質をもつ物質(化審法監視化学物質等)のうち、POPsの排出源等を事業場排水等の分析を通じて解明するとともに、紫外線吸収剤の環境実態の把握を進める。
  • (3)都民に対する影響の懸念がある物質の選定
    有害性や都内における排出量からリスクの高い可能性のある物質のスクリーニングを行い、環境調査の手法について検討を行う。また、学識経験者等の意見を踏まえながら、調査を進め、リスク評価を行うための重要な資料としていく。
事前評価 A2名、B3名
評価コメント及び対応
  • 計画通りに進捗しており、結構に思う。
  • 長年にわたる調査に敬意を表する。 是非、今後も継続すべき研究テーマと考える。
  • 最終年度では研究計画にもあるが、ぜひリスク評価を行っていただきたい。
  • 環境実態調査だけでなく、毒性情報も収集し、リスク評価まで進めていきたいと思います。
  • 大気,水,低質,生物と食物連鎖を追跡する検討にもなっているようで,有効なデータが地道な取り組みから得られていると思う。過去のデータも参考にしながら継続していっていただきたい。
  • 環境運命の検討などは加速試験を実施しても時間がかかる検討と思われるので,早めに着手されてはどうか?
  • 微量分離分析(定性,定量)を通じて,対象物質以外の物質についても「都民に悪影響を与える物質か否か」の視点から常に監視を怠らないようにしていただきたい(有害性のある新たな物質が次々と出てくるため)。
  • ・環境運命の検討に関しては、あらゆる環境媒体について調査を進めていきたいと思います。
    ・PRTR情報や毒性情報及び国内外における最新の情報を日頃から集めるように心がけ、適切に対象物質を選定していきたいと考えます。
  • 都内4地点(都環研、隅田川河口、荒川河口、羽田沖)と小笠原父島での化学物質環境実態調査を継続的に実施することは重要であり、今後とも継続監視を続けることを期待したい。
  • 本研究は、国立環境研究所との共同研究(Ⅱ型)という方式をとっているが、具体的にどの部分での共同研究なのかがはっきりしない。対象物質や分析法に関する知見の拡充だけでは、共同研究とは言えないのではないか。
  • 本共同研究は、知見の拡充だけでなく、相互の長所、短所(分析技術や所有機器、知見等)を補完し合いながら、化学物質に関する実態調査を効率的に進めていくというものです。よって、単独機関では分析が不可能な化学物質に対しても共同研究機関同士で協力し合うことで、その汚染実態に関する情報を全国規模で充実させることが可能になると考えます。
  • POPs等の特定の化学物質の環境実態を定点で継続監視することは極めて重要なデータの蓄積となるので、ぜひとも実施していただきたいことである。
  • 並行して、新たに注目していくべき物質を探索し、継続調査や発生源を調べ、必要に応じて排出抑制の検討も行っていくことは、国レベルでも必要だが、国まかせにしないことも大切であり、意義が大きいと考える。