東京都環境科学研究所

評価結果 H28-1-6

平成28年度外部研究評価委員会 継続研究の中間評価結果

研究テーマ
最終処分プロセスに関する技術開発
研究期間 平成27年度~平成29年度
研究目的 環境負荷低減と費用削減のため、新たな処理技術(アナモックス反応)を用いた浸出水処理の実証試験及び技術開発を行い、新技術の適用可能性について調査する。
研究内容
  • (1) 最終処分場内の実証実験により、雨水による濃度変化や季節による温度変化を受けた場合の影響を含めて調査研究を行い、新たな浸出水処理技術を開発していく。
  • (2) オンサイトでの適用可能性が十分に実証された場合には民間企業との共同研究などによる商用技術化も検討していく。
中間評価 A3名、B2名、C1名
評価コメント及び対応
(同様の評価及び対応は、まとめて記載)
  • アナモックス反応による硝化脱窒のフィールド実験あるいは技術開発に水を差すものではないが、研究表題と内容を表していないように思う。
    技術開発の研究を起こすには、次のストーリー展開と説明が必要。
    ①研究の対象は何であるかを明示すること。表題に記載の「最終処分プロセス」か?、それとも「埋め立て処分場」か?、処分場における用水による地下浸透汚染か?
    ②そもそも東京都の各処分場における地下浸透汚染の実態はどうなっているか。
    ③それがどの程度の土壌汚染および地下水脈汚染を引き起こしいるのか。
    ④のインパクト(環境負荷)は?
    ⑤そのために、何をどれだけ削減することが求められていのか。
    ⑥その解決策として、どんな方策提言、技術提言があるのか?
    ⑦技術開発を必要している場合、外部機関に開発を委託するのか、自前で開発するのか?
  • 研究対象は、東京都中央防波堤最終処分場(埋立処分場)からの浸出水の新たな処理方法の開発です。浸出水は、埋立処分場に降った雨が埋立廃棄物に浸され汚れた水として排出されるものです。浸出水は窒素濃度(特にアンモニア性窒素濃度)が高いため、処分場内の排水処理施設で下水道放流基準以下に処理された後、下水道に放流されます。その後、下水処理場で処理され、公共用水域(海域や河川等)に放流されます。環境負荷は公共用水域への放流基準を満足する範囲内と考えております。排水処理施設での維持管理費が高額であるため、薬剤や電力の削減が求められています。その解決策として、薬剤を使用しない、省電力でのアナモックス菌による浸出水の処理は有効な技術と考えています。
  • きちんと計画通り実験を行っている点を評価する。
  • p.45の上のスライドは、目標水質レベルを図の中に記していただきたい。
  • 目標水質レベルについては、現行の処理方法による処理実績などと比較しながら、検討していきます。
  • 実際現場の浸出水を使用して硝化脱窒の実証データが得られている。
  • 浸出水の窒素は実際には問題となっているのか?スペースさえあれば雨水で浸出水を希釈して東京湾に放流してしまうことも可能と思われるが,コスト(エネルギー)をかけて硝化脱窒しなければならない理由が判然としなかった。
  • 東京都中央防波堤最終処分場からの浸出水については、環境への負荷をできるだけ低減するため、処分場内の排水処理施設で処理後、下水道局の水再生センターへ送り、処理・放流しています。処分場内の排水処理について、現行よりも効率的な処理方法を検討していきます。
  • 研究の全体像、目的が明確で研究成果が期待される。
  • 従来あまり研究されてこなかった海洋性のアナモックス菌を利用した、最終処分場水の窒素除去プロセスの実用化を目指しており、実現できれば波及効果が期待される。
  • フィールド実験の保温熱源に、元来不安定な太陽熱を利用するのは、本研究の主題から外れているように思われる。電気ヒーターのような単純確実な熱源が最適だが、実験サイトで電源が取れない場合には、灯油ボイラを利用するなり、バッテリーを利用するなり、実験場所を再考するなりで、実験の再現性を高められることを期待する。
  • 現行の保温熱源は、緊急対策ですので、実用化の際には、最適な方法を検討していきたいと思います。
  • 挑戦的課題であり、公的研究機関であっても、やってみることに意義があると思われる。
  • 本研究成果の実用化へ向けた検討を行っていきます。