東京都環境科学研究所

評価結果 H30-1-10

平成30年度外部研究評価委員会 新規研究の事前評価結果

研究テーマ
都市ごみ焼却灰の循環利用に関する研究
研究期間 平成30年度~平成32年度
研究目的 都市ごみ焼却灰が、セメント原料の代替として活用され始めている一方、都市ごみ焼却灰に含まれる塩素や、銅や鉛等の有用金属はセメント工場では阻害成分であり、焼却灰の受入量の制限要因となっている。このため、都市ごみ焼却灰中の塩素を効果的に脱塩するとともに、金属資源を種類ごとに効率的に分離回収する調査研究を行い、実用化に向けた情報発信を行う必要がある。
研究内容 ○物理選別による金属分離回収の高効率化
○効果的な脱塩手法の検討
H30事前評価 A1名、B4名、C1名
評価コメント及び対応
(同様の評価及び対応は、まとめて記載)
  • 循環型社会を形成するうえで、本研究の意義は認められる。
    また、これまでの研究で明らかになった粒径別の塩素含有量、金属含有量のデータは有用な情報源と思う。
  • ごみ焼却灰に対する脱塩特性、金属の選別特性の評価方法が具体的に計画されている。
  • 研究目標は具体的に示されており、研究成果の活用も視野に入れた研究テーマであると評価されるが、現時点では研究手法が具体的に示されておらず、どのような技術をターゲットにするか等の事前調査を実施して研究計画を立案した方が良いと思われる。
  • 焼却残渣の物理選別は日本でも新しい研究分野であるため、国内事業者のヒアリングのほか、欧州等の先行技術や論文等を参考に事前調査を実施して研究を進めたいと考えております。
  • 都市ごみ焼却灰をセメント原料の代替として活用し、循環利用しようという研究目標は適切であり、そのためには焼却灰中に含まれる塩素や鉛等の阻害成分を除去するための研究を推進すべきであろう。
  • 焼却灰中に含まれる塩素や鉛等の阻害成分を除去することで、都市ごみ焼却灰のセメント原料代替として活用できるよう、研究を推進していきます。
  • 清掃工場排ガスを脱塩用の炭酸ガス源として用いることができれば、経済性の面で期待できる。
  • セメント原料化のための課題が塩類と金属、という研究の枠組みが明瞭に示され、また、塩類と金属それぞれへの取り組みの軌道が敷かれ、わかりやすくなっている。
  • これまでに種々の手法が提案されていると思われるので、文献調査等である程度焦点を絞って実験計画を立てられると、さらに効率的な研究が実施できるのではないかと思われる。
  • 文献調査等により、効率的かつ効果的な研究計画を立てながら、研究を進めていきたいと考えております。
  • 脱塩特性について、3年にわたり実験を実施しなければならない理由は何か?
  • 焼却残渣の脱塩特性は、含水率、Ca・Al・Fe等の元素含有量、原料ごみ種類等により変化することが予想されます。様々なパラメータを一つ一つ検討する必要性と、炭酸ガス、薬剤等、複数の脱塩オプションを検討するため、実験計画を3年としております。
  • 都市ごみ焼却主灰のセメント原料化の目標について、10年後の目標値を9万トンとしているが、低すぎるので、実現できるかどうかは別として目標値は高くして、その達成に努力されることを期待したい。
  • 脱塩については平成30年度に炭酸ガスの吹き込みで成果が得られなかった場合に、平成31年度以降に硫酸、硝酸などの強酸を用いることが検討されているが、装置コスト、中和剤を含めた薬剤コストを考えた時に、経済性が得られるのかどうか、十分にFSを実施する必要があると思われる。金属回収に関しては、山元還元など他の方式とのコスト比較が必要と思われる。
  • FSは常に意識しながら研究を進めていきます。金属回収は山元還元等とのコスト比較をしていきたいと考えております。
  • 塩類への取り組みとして炭酸ガスと薬剤の検討を設定しているが、文献調査等をある程度は既に行った結果を踏まえているのか? 金属への取り組みでも同様。
    一定の見通しがあるのかないのかが問題で、また机上の実験と実地プラント化可能性との間には大きな開きがあることと思うが、そのあたりの見通しはどうなのか?
    (現段階で回答を求めるわけではなく、これらを認識しながら進められることを期待。)
  • 文献調査を行なった上で、本研究計画を立てております。ご意見を頂いたとおり、机上の実験と実地プラントでは結果に差が出る可能性は十分に考えられます。この点も踏まえてまずは机上実験でデータを蓄積した上で判断していきたいと考えております。