東京都環境科学研究所

評価結果 H30-1-11

平成30年度外部研究評価委員会 新規研究の事前評価結果

研究テーマ
都市ごみ中の有害物質の処理及び管理手法に関する研究
研究期間 平成30年度~平成32年度
研究目的 都は、「東京都資源循環・廃棄物処理計画」における廃棄物の適正処理の中で、「水銀に関する水俣条約」への対応として、水銀含有廃棄物に対する水銀の排出抑制、施設の適正管理等に関する技術的支援を行うとしている。このような状況から、水銀測定技術や制御技術に関する調査研究について早急に整理し、さらに排ガス対策(特に乾式処理)におけるガス状水銀の挙動を明らかにすることにより、より効果的で効率的な水銀排出における抑制処理および管理を検討して、実用化に結びつけられる技術情報を発信する。
研究内容 ①都市ごみ排ガス中の主なガス状水銀である金属水銀及び塩化第二水銀に対する各種活性炭の基本的吸着・反応性能を把握する。
②ガス状水銀と反応活性の高い代表的な共存ガスである塩化水素及び二酸化硫黄との反応性に関する実験を行い、焼却排ガス全体に対する各種活性炭処理(吹き込み剤を含む)における乾式処理性能について把握する。
③清掃工場の排ガス対策における乾式処理において、得られた知見を実用化する可能性について検討を行い、技術情報の発信を行う。
H30事前評価 A3名、B2名
H30評価コメント及び対応
  • これまで基礎的なデータを収集してきたことは評価する。
  • 研究目標および得られるべき成果が明確にされており、基礎的な研究に基づく有用な知見が得られるものと評価される。活性炭への吸着、添着剤との反応のメカニズムに関する基礎的な解明が進むことを期待する。
  • 焼却炉排ガスに対する水銀回収特性の評価方法が具体的に計画され、目標も具体的に設定されている。
  • 都市ごみ排ガス中のガス状水銀の排出挙動を把握し、それらの各種活性炭への吸着・反応性を把握することは、効果的・効率的な水銀排出抑制につながるものであり、評価できる。
  • 現状の清掃工場の標準装備システムであるバグフィルタを利用した水銀除去方式は、実現性がある。
  • 水銀規制の新情勢に対応した基礎的で興味深い課題設定といえよう。
    国際的・国内的な対応の情報に常に目を開きながら独自の成果を追求していただきたい。
  • 最終的な目標を常に考えて実験計画を立ててほしい。
  • 本研究では最終的な目標に向けて検討すべき内容は多いが、優先順位をしっかりつけて実験計画を立て、研究を進めたいと思います。
  • 都市ごみ中の水銀含有に関する現在の状況について説明があれば、研究背景がより計画になったものと思われる。
  • ご指摘のように「都市ごみ中の水銀含有」や「ガス状水銀の排出状況(環境省の調査結果)」の情報もありますので、わかりやすい説明を心がけつつ、研究を進めたいと思います。
  • 供試活性炭に依存し過ぎない普遍性の高い分析としていただきたい。
  • ご指摘の通りと思います。本研究の目的は供試活性炭のパフォーマンスを単に評価することではなくて、それを出発点として、ガス状水銀の排出抑制をさらに効果的で実用的に実現する“素材・化合物”や工程・処理操作などを明確にすることだと認識しております。
  • 水銀排出効果の指標である水銀除去率を5。0%としているが、もう少し高くできないのか疑問を感じた。
  • ご指摘の「水銀除去率を5.0%」については、あくまで活性炭A(160℃)における実測値であり、「水銀排出効果の指標である水銀除去率」の計算具体例として使用しています。
  • 水銀が吸着したバグフィルタの処分はどうするのか、コスト計算に際しては考慮する必要がある。
  • 水銀が吸着した活性炭等は時々飛灰とともにバグフィルタから回収され最終処分されます。また、バグフィルタそのものは一定期間の使用後に交換されています。従来の運用にマイナスの影響を与えないように、検討を進めます。