東京都環境科学研究所

都市ごみ焼却排ガス中の有害物質の処理に関する実用化研究(2021年度)

令和4年度外部研究評価委員会 終了研究の事後評価

研究テーマ
都市ごみ中の有害物質の処理に関する実用化研究 【終了】
研究期間 2021年度
研究目的 乾式処理の排ガス対策におけるガス状水銀の挙動を明らかにすることにより、より確実で効果的な水銀排出抑制処理を検討し、また、測定技術や制御技術に関する調査研究について早急に整理し、実用化に結びつける技術情報を発信する。
研究内容
  • (1)実用化候補活性炭における他活性炭との比較・優位性の検討
  • (2)実機試験を実施するための条件確認とその準備
  • (3)清掃工場の実機における水銀抑制効果の検証
事後評価 A 3名、B 2名
評価コメント及び対応
  • ガス状水銀の活性炭処理について、安全に配慮しながらラボ実験を繰り返され、活性炭や添着剤の水銀除去率への効果を明らかにされ、実用化につながる成果を得たものと見なせる。一方で、実機試験では想定した効果を確認するまでには至らず、今後の課題となった。学会発表や特許出願は積極的に行われている。
  • 実機試験での経験が、いずれ別の機会に活かされることを期待する。
  • 実機の都市ごみ焼却排ガス中の水銀濃度を長時間連続測定したこと、また、水銀の突発性出現を実測データとして、初めて定量的に測定したことは高く評価される。ただし、新規検討活性炭の効果が十分に検討できなかったことは残念であった。
  • 昨年度開発したHCl添着活性炭は実機実験に使用できなかったのは、原状復帰が保証不可のためとあるが、清掃工場で実際に津使用されることを前提に特許出願したのであれば、追加のデータ取得が必要ではないかと思われる。
  • 廃棄物燃焼からの水銀排出抑制は重要な課題と思うので、抑制可能な方法を提案されたことを評価する。
  • 【問】清掃工場の希望で味の素社製が選定されたとあるが、何か性能以外の要因はあるか。
  • 【答え】味の素社製の活性炭は、当該清掃工場において安心感 [当研究所で以前実施した市販水銀除去用活性炭(粒状)の評価実験で高温使用時(200℃)における水銀除去効果が最も優れていた。] があったことに加えて、本実機試験において味の素社が現状復帰を保証したため(販路拡大を検討中)、選定されたと思われます。
  • 活性炭による水銀吸着性能に関して実験室実験および実機試験を通して、その特性を基礎的,実用的観点からに明らかにしたことは評価される。添着剤活性炭実用化の達成までは至らなかったが、研究目標はほぼ達成され、活性炭の有用性を定量的に明確にしたことは貴重な成果であり、今後の進展が期待される。
  • 活性炭の突発性出現における吸着挙動については滞留時間等の観点から検証してはどうかと思われる。また、添着剤活性炭については測定データの不安定性の要因が活性炭自身の特性によるものなのか、外的要因によるものなのか興味深い。
  • 実機による連続測定を可能とし、突発性出現の確認をできた点は高く評価できる。ただし、新規検討活性炭の効果に関しては十分に確認できたとは言えない。