東京都環境科学研究所

脱炭素化に向けた中小規模事業所対策の調査研究(2025-2027年度)

令和7年度外部研究評価委員会 新規研究の事前評価

研究テーマ
脱炭素化に向けた中小規模事業所対策の調査研究【新規】
研究期間 令和7~9年度
研究目的 近年、技術開発等による省エネ対策が進む中、準大規模(1万㎡以上)の中小規模事業所に該当する事業所も増加傾向にあり、これらの比較的排出規模の大きい事業所の実態解明や効果的な省エネ対策等の調査研究を行うことは、今後の中小規模事業所対策の検討において不可欠である。本研究では、省エネ法等による国への報告内容をもとに都内の準大規模(1万㎡以上)の中小規模事業所のCO2排出量や温暖化対策の実態を調査した上で、CO2排出削減効果を推計するとともに、どのような業態や用途での脱炭素化が困難なのか検討することを目的とする。
研究内容
  • ・省エネ法の定期報告書データ等に基づく、都内の準大規模(1万㎡以上)の中小規模事業所の業種・業態やエネルギー使用量等の実態調査
  • ・これらの情報と都の報告書制度のデータとの照合・分析
  • ・主要な事業所へのアンケートやヒアリングの実施
  • ・都内準大規模(1万㎡以上)中小規模事業所のCO2排出量及びCO2排出削減効果の推計
事前評価 A:優れている      2
B:普通         3
C:やや劣っている
D:劣っている
評価コメント及び対応
  • 【質問】実態調査の把握が最初に来ていますが、どの程度の精度良い調査が可能なのでしょうか?目的は中小規模事業所でのCO2排出削減と思いますので、25年度から並行して主要な事業所等へのアンケートやヒアリングとうサンプル調査を行い、事業所の特性(業種・業態・規模等)によるエネルギー使用傾向、CO2 排出量、温暖化対策等の分析を実施し、脱炭素化が困難な事例等に関する研究を実施した方が良いのではないでしょうか?
  • 【回答】国が実施しているエネルギー消費量及び企業の経済活動に関する大規模な統計データを活用しますので、事業所の特性によるエネルギー使用傾向、CO2排出量については、精度の高い調査になると考えております。温暖化対策の実施状況等は、統計データのみでは実態把握が困難であると考えられるため、いくつかの事業所に対するヒアリング等の実施も検討します。
  • CO2排出量が不明な中小規模事業所の実態把握を行うことは重要だと思います。難しい調査だとは思いますが、入手可能な様々な資料から実態把握を実施するという計画は妥当なものと判断いたします。
  • 報告書が提出されている事業所のデータの基づき、本調査による実態把握の妥当性が検証できれば良いように思います。
  • 研究は特定の年次を対象とした分析にならざるを得ないと思いますが、実際の業務では1時点のみならず長期的に調査、把握する必要があると思いますので、評価手法の確立も含めて検討できるようにしてください。
  • 中小の事業所は、大規模事業所と異なり数も多いのでトップダウンで推計せざるを得ないところがあると思います。電力需要のデータの活用など精度を上げる工夫も今のうちから検討しておくと良いのではないかと思います。
    また、分析結果を各事業者に対してフィードバックしていくことを考えると、CO2排出量ではなくエネルギー消費量に関する情報のやり取りがメインになると思います。スライドもそうした内容になっていますが、その点には留意して、電力の排出原単位で対応できるところなど切り分けて分析できるようにしてください。
  • 中小規模事業所を対象とした分析結果は、手法とともに他の自治体でも大いに参考になると思いますので、全国的にも活用できるように分析手法や前提条件の設定方法などマニュアル化できるところはそうして下さい。
  • 数の多い中小の事業所にターゲットを設けた点は評価できると思います。データの収集が難しいと想定されますが、精度向上を図って欲しいと思います。
  • 得られたデータは、義務や任意提出のデータとの比較による、調査結果の制度検証も検討してください。
    延床面積あたりのエネルギー消費量などから、優先して取り組む対象の絞り込みなども検討してほしいです。
  • 建物要路やエネルギー使用用途(空調・照明など)、建物仕様(竣工年・断熱性能など)等、対策につながるようなデータの収集を期待します。
  • 都内事業所におけるCO2排出量の約35%を占める中小規模事業所のCO2排出削減状況を把握することは、今後の都の施策を検討する上で意義がある。
  • 【質問】準大規模の中小規模事業所のエネルギー使用量から換算したCO2排出量が全体の何%以上であれば、追加的な施策の効果が出るものと想定されているのでしょうか。
  • 【回答】本研究で中小規模事業所の業種及び業態等を把握し、CO2排出規模及び追加施策の効果について検討してまいります。