東京都環境科学研究所

東京における地下水の実態把握に関する研究(2025-2027年度)

令和7年度外部研究評価委員会 新規研究の事前評価

研究テーマ
東京における地下水の実態把握に関する研究【新規】
研究期間 令和7~9年度
研究目的 地下水位や揚水量等、蓄積されたデータを活用するとともに、学術機関と連携しながら、最新の研究手法を用いた地下水の実態把握を行う。
研究内容
  • (1)揚水の影響予測
  • 東京大学と共同研究を行い、東京における揚水-地下水位-地盤の関係を精度良く再現し、評価できるシミュレーションモデルの構築に取り組む。
  • (2)地下水流動系の解明
  • 筑波大学と共同研究を行い、都内の地下水、湧水、及び河川水におけるトレーサー成分を分析し、東京における地下水流動系の解明に取り組む。
事前評価 A:優れている      3
B:普通         2
C:やや劣っている
D:劣っている
評価コメント及び対応
  • モデルの構築と検証に期待します。
  • 共同研究先と協力しながら研究計画は適切に立案されていると思われます。学会発表等の外部への情報公開も積極的に行われることを期待いたします。
  • 3次元シミュレーションでは最終的に得られる知見はどのようなもので、その妥当性検証はどのように実施されるのでしょうか。
  • 新たな研究課題として立ち上がりますが、本研究テーマを含めた大きな「東京における地下水の実態把握に関する研究」の中で、今回の3年間の研究がどう位置づけられているのか、最終的なゴールは何かを示してほしいと思います。
  • 【質問】今回行われたトレーサーによる解析と、前年度までに構築されてきた三次元局所モデルとの関係が明確ではなかったと思います。具体的にどのようにモデルの高度化やシミュレーションに関わっていくのでしょうか?
  • 【回答】トレーサーによる地下水流動系の研究結果により、必要に応じて広域地下水流動モデルの地質モデル、透水係数の設定、地下水流動方向を見直すなどにより、三次元局所モデルの境界条件の設定に反映されることが考えられています。
  • 3年間の研究テーマの中での位置づけとともに、大きなテーマである地下水の実態把握に関する研究の中での位置づけや課題を明確にして、研究に取り組んで下さい。
  • 複雑な地下水流動の傾向が少しずつ明らかになってきているので、大変興味深いと思います。複合的な分析から明らかにされている点は評価が高いと思われます。
  • 【質問】弾性変形と塑性変形の割合がエリアで異なっているのでは、断面組成の違いによるものでしょうか?
  • 【回答】地域ごとの地質、地層の堆積年代を反映している結果と思われます。特に軟弱な沖積層が厚く堆積している低地部の地域は、塑性変形の割合が高くなっています。
  • シミュレーション手法など、都環研として今後も活用できるような共同研究の進め方を期待します。
  • 地下水を資源として保全・有効利用する地下水管理方策の立案に資することが期待される。