東京都環境科学研究所

高濃度光化学オキシダントの低減対策に関する研究(2025-2027年度)

令和7年度外部研究評価委員会 新規研究の事前評価

研究テーマ
高濃度光化学オキシダントの低減対策に関する研究【新規】
研究期間 令和7~9年度
研究目的 Ox高濃度日を減少させるため、人為起源の中でOx生成への寄与が大きいVOC成分の一次発生源だけでなく、Ox生成時に大気中で二次生成するVOC等の挙動も把握し、対策が必要な発生源の特定に資する調査研究を行う。また、将来的な気候変動によるOx生成への影響を予測し、将来的に必要となる対策の推定に資する調査研究を行う。
研究内容
  • (1)対策が必要なVOC発生源の把握
  •    ①VOC発生源の把握に向けた調査
  •    ②関東地方大気環境対策推進連絡会微小粒子状物質・光化学オキシダント調査会議の合同調査における広域的検討
  •    ③大気中で二次生成するVOCや窒素酸化物の生成・消失の実態把握及び評価
  • (2)気候変動に伴うOx生成への影響評価
事前評価 A:優れている      3
B:普通         2
C:やや劣っている
D:劣っている
評価コメント及び対応
  • VOCについては把握が難しい物質もあると思います。オキシダント(オゾン)の環境基準達成は難しいと思いますので、光化学スモッグ注意報発令日を少なくするというのが現状としては具体的な目標設定として良いと思います。
  • 先行研究で実施された課題について継続的かつ詳細な解析を実施するように適切に策定された研究計画であると思われます。Oxの環境基準達成に向けた研究の進展を期待いたします。またVOC発生源の把握や各種解析を進めることで大気シミュレーションの予測精度向上につながるものと期待されます。
  • 前期3年間の研究を引き継いで有用な成果をあげることが期待できます。
  • 【質問】気候変動に伴うOx生成への影響評価については、気候要因に加えて人為起源の排出も影響すると思いますが、こちらは現状の負荷が継続するという想定でしょうか?将来の人口減少や自動車の転換(ガソリン車から電気自動車など)、再生可能エネルギーへの転換など、発生源も大きく変わりうると思います。
  • 【回答】本研究では、将来の各脱炭素シナリオにおける排出量の伸び率情報を考慮し、それと整合する年次補正を化学物質排出インベントリに施すことで、人為起源の排出変化を考慮した将来の排出インベントリデータを作成しています。それら人為起源の化学物質ならびに植物起源VOCの将来排出量、そして将来気候を入力値とする大気質シミュレーションにより、将来のVOC濃度およびオゾン濃度の予測を行うことで、植物起源VOCの将来影響を評価します。
  • どこまで光化学オキシダントの濃度を下げることが可能なのか、そのために取り組むべき課題の整理など、明らかになることを期待しています。
  • VOC発生源の把握とともに、気候変動に伴う影響の将来予測は興味深いです。
  • 【質問】大気中のVOCの削減は可能なのでしょうか?その対策方法はどのようなものが挙げられるのでしょうか?
  • 【回答】多くのVOCでは排出削減対策が進んでいますが、大気濃度の低減が進んでいない物質もあります。
    大気濃度の低減が進んでいないVOCの中には、PRTR対象外物質であるなど排出実態の把握が不十分なものがあることから、これらの排出実態の把握から取り組む必要があると考えています。
  • 緑化を進めることによるB-VOCの増加とOX生成リスクについて明らかにしてもらいたいと期待します。
  • 対策が必要なVOC発生源の把握は行政として重要な課題である。