東京都環境科学研究所

東京における地下水の実態把握に関する研究(2025-2027年度)

令和8年度外部研究評価委員会 継続研究の中間・事前評価

研究テーマ
東京における地下水の実態把握に関する研究【継続】
研究期間 令和7~9年度
研究目的 地下水位や揚水量等、蓄積されたデータを活用するとともに、学術機関と連携しながら、最新の研究手法を用いた地下水の実態把握を行う。
研究内容
  • (1)揚水の影響予測
    東京大学と共同研究を行い、東京における揚水-地下水位-地盤の関係を精度良く再現し、評価できるシミュレーションモデルの構築に取り組む。
  • (2)地下水流動系の解明
    筑波大学と共同研究を行い、都内の地下水、湧水、及び河川水におけるトレーサー成分を分析し、東京における地下水流動系の解明に取り組む。
中間評価 A:優れている    6
B:普通       
C:やや劣っている  
D:劣っている    
評価コメント及び対応
  • 化学分析による地下水系の実態が把握できたことを評価します。
  • 地下水系のトレーサー分析を行なったものである。
  • 東京都および武蔵野台地、関東ローム層における、地下水脈およびその同定を推計したものとして意義がある。揚水しても大丈夫なところの同定は意義がある。
  • 地下水の実態把握は大変興味深い。マルハナバチ類は、下町低地には分布せず、武蔵野台地にはコマルハナバチ、多摩丘陵にはトラマルハナバチとコマルハナバチが分布する。因果関係は未詳だが、現象的には似たところがある。
  • 図師小野路歴史環境保全地域など東京都の保全地域は谷戸地形にあり、湧水の小川によって水田の水需要をまかなってきた。この湧水は浅層地表の水文現象とは異なる挙動をするということになるのだろうが、生物多様性保全にはきわめて重要なので、関心を向けてほしい。
  • 地下水位に関する調査が都内の地形も踏まえて適切に行われ、研究目的に対応した成果が得られていると評価していますし、モデルによる地盤沈下の解析結果や課題なども明示されていると思います。
  • 大変わかりやすい説明でした。広域連動で解析を実施されている点は高く評価できると思います。涵養域に違いが生じていることに関して、要因が分析できると良いと思いました。
  • 調査を詳細に実施し地下水流動を解析されている大変貴重な調査研究であり、シミュレーションによる地盤沈下の解析とあわせて、今後の地下水利用や地下開発の政策への展開が期待されます。
事前評価 A:優れている    5
B:普通       1
C:やや劣っている  
D:劣っている    
評価コメント及び対応
  • 揚水の影響予測について、都環研の研究ではないですが「地球統計学に基づく水理地質モデル」の妥当性がよくわかりませんでした。
  • 東側が滞留水エリアで、古い地下水域であるという。今後の都民の期待としては、多摩地区で発生しているPFASの地下水への流出が、どのエリアで、いつ頃、どのように表面化するか(しないか)を特定できたら素晴らしいと思われる。
  • 2つのアプローチが精緻化されることで、生物多様性保全にも貢献できる。
  • 【質問】井戸枯れした井戸は使わないでいれば復旧するのですか。
  • 【回答】現実問題の井戸枯れは、その井戸自体の揚水と周辺の井戸の揚水の総合的な影響によって引き起こされます。当該井戸の使用をやめただけでは復旧せず、地域全体の揚水量が影響します。ただし、今回問題にしたのは現実の井戸枯れではなく、数値計算の上で井戸枯れの現象をうまく再現できず、計算が収束しないことを問題にしています。
  • 生物多様性と連携できることが多いと思います。
  • 【質問】地盤沈下量の分布にムラがあるというのは、当初からの想定内の結果でしょうか、それとも想定外の結果でしょうか精度の向上に向けてどのような方法が考えられているのでしょうか。
  • 【回答】これまでの研究では、井戸の揚水の場所を特定して作用させることは行われてきませんでした。今回それを行ったことで沈下量の分布にムラが生じたことは意外な結果として受け止められています。しかし、地下水検討委員からは実際の現場でもムラが生じていたのではないかとの意見も提示されており、結果の妥当性については結論が出ていません。精度の向上にはアンサンブル解析の結果をもって総合的に判断していくことになります。
  • 【質問】地下水移動の時間軸を踏まえて、地下水の保全と適正利用のあり方が検討されると思いますが、どのように成果が活用されるか期待しています。 ・地下水流動の仕組みが明らかになることを期待します。なお、数値解析については、精度の検証はどのようにされているのでしょうか
  • 【回答】精度の検証は、先ずは計算対象地内の観測井における地盤沈下量の実測値に近づけることで行っています。その後、複数の地質モデルを用いたアンサンブル解析によって、精度の評価をして行くことになっています。
  • 地下水の流れを考慮した、有効な地下水の活用につながることを期待します。
  • さらなる調査及び解析とモデルの安定性向上及び揚水量分布の妥当性等の検討をされる等の計画は、今後の地下水利用方針の検討のために大変重要であると考えます。
  • 来年度以降も、モデルの精度向上を検討しつつ調査を継続し、経年的な変化をとらえて継続解析していただきたいと考えます。