東京都環境科学研究所

特定外来生物キョン防除事業の強化に向けた調査研究(2026-2028年度)

令和8年度外部研究評価委員会 新規研究の事前評価

研究テーマ
特定外来生物キョン防除事業の強化に向けた調査研究【新規】
研究期間 令和8~10年度
研究目的 伊豆大島に生息する特定外来生物キョン防除事業において、早期根絶を目指すために、生息数拡大の要因となるメスの分布や活動状況の把握が不可欠であり、状況把握の効率化・迅速化に向けて環境DNA分析等を用いることが有効である。伊豆大島や千葉県におけるキョンに関する環境DNAを用いた調査研究を行うことで、キョンの根絶に資する技術開発や科学的知見の蓄積を行い、将来的には他の哺乳類に関する環境DNAの研究につなげていく。
研究内容
  • (1)環境DNAを用いた同種の種判別及び雌雄判別法を開発する。
  • (2)伊豆大島及び千葉県において、キョンの生物試料および環境試料等に含まれる環境DNAの採取を行う。また、文献調査やその他の現地調査等を行い、情報の蓄積を行う。
事前評価 A:優れている    3
B:普通       3
C:やや劣っている  
D:劣っている    
評価コメント及び対応
  • キョンの生息実態把握は重要と思います。一方で駆除や防除後の処理法についても早めに検討された方が良いのではないかと思いました。
  • キョンのみならず、大島に持ち込まれた外来種は駆除することが望ましい。わな猟などの様々な捕獲の工夫が述べられているが、離島の外来種駆除は全頭駆除である。従って、より精度の高い捕獲方法の検討、さらに捕獲後の最適な処分方法を検討してほしい。
  • 伊豆大島の面積は90平方キロ。とても広いので、効率的な手法が必要。
  • 目標が低密度管理なのか、根絶なのかによって、手法が変わってくる。伊豆大島には自然の河川はないので、空気中や土壌表面が主体となる。
  • 海洋島である伊豆大島の生態系複合の変化はきわめて多様であり、キョン以外にも調査すべき種は多く、さらには、生物群集、生態系、生態系複合(景観)まで広げてほしい。
  • 【質問】千葉県における環境DNAサンプル等の採取について、千葉県との協力はどのようになっているのでしょうか。最終的なアウトプットは何になるでしょうか。環境DNA分析手法の開発・改良はキョン防除に特化した手法を提案されるのでしょうか。
  • 【回答】千葉県におけるサンプル採取等については、環境研究総合推進費の研究グループと協力して実施する想定です。本研究においては、キョンの生息域を判別するための手法を開発するとともに、雌雄判別が可能となる分析手法の開発を目指しております。研究期間(3年間)においては、開発する環境DNA分析手法がキョンの生息状況(雌の分布状況・活動状況など)を正確に反映でき、効率的な防除活動(柵の設置や捕獲など)を促進するとともに、将来的には根絶確認に活用することをアウトプットとして考えています。
  • 環境研究総合推進費と連携して取り組まれていますが、どのように成果の切り分けがなされているのか、機会があれば説明をお願いいたします。
  • 【質問】土壌葉面残留eDNAや葉面環境DNAから雌雄判別ができる可能性や精度が明らかになれば良いと思います。伊豆大島と千葉県で、キョンが生態系に及ぼしている影響の違いがありますでしょうか。
  • 【回答】伊豆大島と千葉県における主要なキョン被害として、自然植生や農作物への食害が挙げられます。伊豆大島固有の生物種が生息・生育する環境であるが、食害により、一部希少植物が絶滅に近い状態となっており、千葉県より直接的ダメージが大きいと考えられます。また、食害が下層植生へ影響し、森林更新にも影響すると考えられています。
  • 千葉県などでもキョンの被害がありますので、成果の展開にも期待したいと思います。
  • 従来のモニタリング手法では、時間と労力がかかっていたものを、キョンの雌雄判別のための環境DNA分析手法の開発により、DNAを調べることで生息する雄雌の存在の有無を推定できるようになり、対策のために必要な広範なキョンの雌雄生態情報の取得が可能になると期待いたします。
  • 伊豆大島及び他地域における環境DNAサンプル等の採取及び文献調査を継続されると同時に、他の特定外来生物対策の事例調査もされると良いかと考えます。